坂本冬美25周年ベストアルバム
坂本冬美のデビュー25周年を記念して製作されたアルバムです。一旦は歌手を休業するところまで追い込まれての復活劇ですが、実に見事なものだと拍手を送りたいと思います。
全16曲74分を聴き通しましたが、いい意味で年輪を重ね、歌手の幅も広がっているのを感じました。
最新作「桜の如く」は軽快なサウンドの中に演歌の王道のメロディが詰まっていました。これもヒットすれば良いですね。
名曲「夜桜お七」の近年のヴァージョンは、オリジナルと少し雰囲気に違いがありますが、しっとり感があって、また心に迫ってきます。歌のうまさには定評がありますし、何回も繰り返し聴きたくなる歌だからこそ、このように代表曲として残っていくのでしょう。
大ヒットした「また君に恋してる」のサビの箇所でも伝わってくるように、悲しく切ない歌を歌わせれば絶品だと改めて感じました。歌いあげる表現力には定評がありますが、演歌のジャンルを超えてフォークやポップスを歌わせてもその巧さは全く崩れませんし、違和感なく心に届きます。松井五郎の紡いだ歌詞の一言一言を丁寧にしっとりと歌っています。こぶしを押さえながら、サビも歌い上げるのではなく、森正明の曲の美しさを慈しむように表現する歌唱力がリスナーを魅了しています。
歌詞の情景が浮かぶような歌唱力、切なさを秘めた声の魅力、心の奥深いところに届く表現力。ベストセラーになる理由が揃ったようです。
「アジアの海賊」はカッコイイ曲で、男前の曲です。琴、小堤、三味線と尺八をバックに中村あゆみが表現したかったロックの世界を見事な歌唱力で、伸びやかに大らかに大胆に歌いきっています。彼女の実力をもってして、日本のみならずアジアの国々にその魅力を轟かせて欲しいと願っています。♪追い風吹けば波に乗れ♪で、♪ノッタ ノッタ ソイヤ ソイヤ 宝島へと 舟を出せ♪という状況でしょう。
ゴールデン・ベスト
ダウンタウン・ブギウギ・バンドのベスト盤の選曲は難しい。それは、良い曲がありすぎるからだ。この盤は「見果てぬ夢のブルース」収録なので私はチョイス。
出来れば、昔のアナログ「傑作大全集'U」収録の「道行華」(これは任侠演歌とも呼ぶべき「身も心も」、「欲望の街」と並ぶ傑作)とOUR HISTORY AGAIN(時の彼方に)を入れてくれたら、個人的には大満足だった。
宇崎さんの曲には、「ナントカのブルース」という曲名が多いが、いわゆる黒人のブルースをやっているわけではない。宇崎氏にとって「ブルース」とは、たぶん人間の身体全体に滲み込むような抒情歌のことを指すのだろう。
宇崎歌謡は、一聴すると演歌や歌謡曲みたいな部分もあるが、演歌的な寄り合い・共同体的指向や文学性はなくて、もっと個的で映像的、情感よりも生理や皮膚感覚に訴えるような今日性がある。これは大変現代的なセンスである。
宇崎さんの作品を通じて私はかつてのGSや、ブギ、ロックンロール、沖縄音楽、ジャズのとりこになりました。宇崎さん、ありがとう!
カムイの剣 [DVD]
うお、このDVD再発してたんですね!今まで全然気付いてなかった。ずっとプレミア気味の作品だったので、自分は古いVHSビデオを買って繰り返し見ていました。
りんたろう節が炸裂した、ケレン味あふれる演出がたまりません。数々のバトルシーンの見せ方も秀逸。後に「妖獣都市」や「バンパイアハンターD」で長編アニメーション監督として注目を浴びる川尻善昭さんが、原画で参加されてるのも要注目です。
時代設定は幕末。ジャンルは伝奇ロマン+忍者バトルアクション+アドベンチャー…みたいな感じで、とにかくスケールが大きい。舞台は日本を飛び出してアメリカにまで及びます。海賊キャプテン・キッドの財宝のありかだとか、主人公である次郎の出生の秘密だとか、数々の謎を孕みならが物語はうねるように展開していきます。
まさに何でもアリの娯楽超大作! …まあさすがに詰め込み過ぎのような気がしないでもないですが、最後まで一気に見せるパワーがあります。あの山口貴由先生も大好きな映画だとおっしゃってました。
ゴールデン☆ベスト
レビューに「無頼派詩人」とある。たしかに、若いころから「破滅型」のような印象を持っていたが、歌は好きだった。秋田弁で強烈な個性だ。最後にコンサートに行ったが10年ぐらい前か。最近、各社合同でミュージシャン別「ベスト・アルバム」が出ていると知り、まず、友川かずきを買った。1975年から2003年の新作まで全18曲。久しぶりに聴いたが、やはりいい。血が出てくるような歌い方。秋田弁がまたいい。代表曲「生きていると言ってみろ」他、「ワルツ」「汚れちまった悲しみに」、ちあきなおみに捧ぐという新しい曲「夜へ急ぐ人」など友川かずきは健在だった。とてもマイナーな歌手かもしれないが、是非、聴いて見てください。90年代、ほとんど若い日本人の音楽を聴かなかった。しかし、森山直太郎や平原綾香などをはじめ、面白いと感じられる人がでてきて聴きはじめているが、60年代、70年代のフォークなどがリメークされていることなど、フォークといまの新しい音楽が近づいているように感じられる。その共通項は「詞」だと思う。言葉を大切にする、日本語を大切にする、だから、言葉が耳に残る。嬉しい傾向だ。だから、友川かずきはいまどうしているかと気になったのだろう。他にも沢山いる。昨夜、連れ合いと一緒に聴き、感動した。若い人も、そうでもない人も聴いてみてはいかがでしょうか。
ゴジラ モスラ キングギドラ大怪獣総攻撃 [DVD]
元々ゴジラは水爆実験で甦った怪獣で、戦争の権化とも言うべき存在でした。
家を踏み潰し、口から炎を撒き、人々を恐怖のどん底に落とす災害。それがゴジラ。
しばらくは人類の味方に近いポジションに付いていたようですが、本作にてその凶暴なゴジラが帰ってきた!
まず見た目が凶悪です。白目向いてるし、全体のフォルムも攻撃的。そして作品内でゴジラは人を殺します。もはやゴジラは敵以外の何者でもない。日本を護る怪獣に総攻撃される辺り、徹底的に嫌われています(笑)