あの日からのマンガ (ビームコミックス)
3.11の震災以降、様々なメディアが毎日のように、その被害や被災者の現状などを伝えている。しかし中には、ドキュメントと呼べるかどうか迷う番組もあったし、不安定な政府の対応を叩くばかりのニュースも目立った。実際に目にしたり体験してない自分にとって、TVもネットも新聞も、常に嘘や矛盾が潜んでいそうで少し構えてしまう。
そういった面で、フィクションを前提としたマンガという分野は潔い。そもそもは風刺目的で利用されていたものである。それゆえ訴える力には長けており、作者の伝えたい想いほど強調され読者に届く。
このマンガでは、特に原発についての言及が多かったように思う。4コマのシリーズこそユーモラスに描かれてはいるが、短編には強烈な皮肉が込められている。今回の事故が及ぼしている影響とこれからの課題。専門家のように具体策を提示しているわけではないので、見る人によっては無責任な批判だと思われる可能性もあるが、マンガだからこそ持ち得る訴求力で警告を発している。
しりあがりさんは、マンガ家ができる最大限の成すべきことを成した。あとは受け手が何を感じ、どう考えるかだ。少しでも多くの人に読んで欲しいと思う。
海辺の家 [DVD]
いい思い出もあるが、嫌な思い出の方が多い古い家を壊して、新しい家を建てる。
その家をそこに暮らした家族の変遷にみたてた映画、だと感じた。
断崖絶壁の上に建つ家。
あんな場所で暮らせたら寿命が10年は延びるだろうなあ。
ただ、崖崩れの心配なんかもしてしまうところが我ながらいいんだか悪いんだか。
癌で余命数ヶ月と悟った男が、残った命を、離婚を契機に疎遠になった一人息子と家を建てるという行為に費やす決心をする。
息子は世を拗ねてドラッグ漬けの毎日。
自分を見捨てた父親は父親ではないし、自分をとりまく世の中全部が嫌になっている。
父は父で、息子が幼い頃はいい関係だったが、それから後は孤独な毎日を過ごし、やはり、世の中なんて何にもいいことなんか無いという人生を送ってきた。
それがもうじき自分がこの世から居なくなると感じた日から、それまでの過ちを少しでも取り返すことに最後の光明を見出そうとする。
私ならどうだろう。
何かに取り組む気力が湧くだろうか。
それは、そうなってみなければ判らない。
ただ、私はあと20年掛けてそれが出来ればとは思っている。
そんなことを本気で思えるには、窮地に追い込まれなければならないのかも知れない。
そういう意味では、まだまだ呑気な絵空事かも知れないが、それならそれなりに、常に念頭においておきたく思う。
この映画で一番心に残ったシーンは、新しい家の骨組みが出来て、段々と家らしくなってくるのと並行して、反発していた息子や、他人に戻った元妻の心が氷解してゆく様が、海の夕陽で表現されているところ。
オレンジ色から群青色へのグラデーションをバックに、爽やかな海風が吹く。
その空間に逆光でシルエットになった元夫婦がダンスを踊る。
BGMは、彼ら家族が親密だった頃によく聴いた「サークルゲーム」。
このシーンがこの映画を物語っていたように思う。
人は過ちを取り返すことが出来るんだというエールをもらったような・・・
青春の光と影
USオリジナル・ジャケット再現、ラベルもUSオリジナル仕様の2色ラベルを再現。
ダブル・ジャケット、帯は国内再発版デザインを採用。
カンパニースリーブもしっかりと再現されております。
リマスターは97年マスターで一応最新リマスターでのSHM-CD化です。
ライナーは2011年最新書き下ろしで執筆は天辰保文氏。
海辺の家【日本語吹替版】 [VHS]
余命3ヶ月と宣告された建築家。彼が人生の最後にしようと決めたことは息子と家を建てることだった。その息子は彼が離婚した妻のもとで新しい父親と暮らしていたのだが、新しい父親とはうまくいっていなかった。彼に愛されたいと願う父親。そして残された時間は確実に減っていくのだった。
人生の残りがこれだけって区切られてしまうからできることもあるということでしょうか。本気なら通じる想いを見る気がしました。もっと時間があるうちからこうなれたら、と思うのは私自身が凡人ゆえでしょうね。せめてこの映画を見た後くらいは真面目に生きようと密かに思います(笑)。
海辺の家
サートンはアメリカの小説家で、詩人。
「海辺の家」は、ひとり海辺の家に暮らす彼女の日常と心の動きを記した日記。
とても繊細な文章で、するどい自己洞察と啓示に満ちている。
どんなに高名な作家と言えども当然、人間で、迷ったり悩んだり日々のことにわずらわされたりせずには生きられない。
その中で、どうやって泉を枯らさず、流れを絶やさずに書きつづけるか。
サートン自身の葛藤もありのままにつづられていて、ひとは還暦を過ぎてもこれほどの熱意を保ちつづけられるのか…と驚かずにはいられない。