スケッチ・オブ・ナスカ
アニメ”時空転抄ナスカ”のイメージアルバムとして製作された作品です。
いやいや、参りました。いいアルバムです!。アニメの方は、決して面白いとはいえない作品でしたが(ゴメンナサイ)、このアルバムのサウンドは超一級。エキセントリック・オペラの起用だけでも話題性は十分。加えて、斎藤恒芳さん(作編曲)+葉加瀬太郎さん(ヴァイオリン)という、クライズラー&カンパニー(K&K)のお二人が、K&K解散後にコンビを組んだという意味でも、貴重なタイトルです。ミュージシャンにも、ギターに天野清継さん、ケーナに田中健さん(役者で知られる田中健さん、その人)など、細かいこだわりが感じられ、アルバム仕掛け人の木崎徹さんの熱意とセンスにも拍手を送りたいところです。
クラシックのテイストをアルバム全体にちりばめていますが、決して重たくはありません。(3), (6), (10)あたりの曲が、大変気に入りました。サウンドトラック盤も、別途発売されましたが、CDで楽しむ分には、こちらをオススメします。
時空転抄 ナスカ DVD-BOX
この作品を語る上で外せないのが、まず音楽です。
主題歌「愛のフーガ」やテーマ曲とも言うべき「空中神殿」を歌う
The Eccentric Operaの音楽性は、メインボーカルの
相良奈美さんの澄み切った声と共に素晴しいものですし
情熱大陸で有名な、葉加瀬太郎さんと
宝塚歌劇団での舞台音楽や他のアニメ作品も手がけ
The Eccentric Operaの書上奈朋子さんの配偶者でもある
斉藤恒芳さんが音楽を製作されています。
この音楽陣の豪華さは、なまじの劇場版をしのぐと思われます。
(実際、サントラやイメージCDなどはプレミアがついていますし)
そして、当時としては優れた作画技術と
細かい作画にもかかわらず、最後までほとんど
乱れがないのも見事でした。
そして、トンデモな設定さえもかき消してしまうような
なぜそこでそうなる!と叫んでしまうような
唐突でトンデモな演出の数々も、非常に印象的です、
トンデモなだけであれば、駄作で終わったしまったでしょうが
CGが導入され始めたばかりの当時としては、セルとCG演出の混在は
非常で美麗であり、荘厳であり、異様さを表すものであり
この作品の描く「異質さ」を十分に伝えるものであったと思います。
私の中では「アレクサンダー戦記」と並んで
二大お気に入り作品となっております。
(双方共に、トンデモ作品であることは気にしないでください)
ただ、声優や設定、作画のみで語られてしまうには
あまりにも惜しすぎる作品だと思って、今回レビューさせていただきました。
サウンド・オブ・ナスカ~テレビ東京アニメーション番組 時空転妙ナスカ
このCDは1997年に放送されたアニメ「時空転抄ナスカ」のサウンドトラックです。
このCDでは、元「G・clef」の斉藤恒芳さんや、ヴァイオリニストの葉加瀬太郎さん、そして東京藝術大学声楽科の卒業生のデュオであるエキセントリック・オペラと言った、豪華キャストでクラシック音楽を基調とした荘重な音楽を中心に成り立っていて、音楽として聴いてみると、決して「駄作」とは言えない物です。
しかし、音楽関係でこれほど派手に予算を注ぎ込んでしまった事が、却ってアニメ本体の台本や作画にしわ寄せが来てしまい、「音楽・キャストは一流、台本・作画三流」のアニメとなってしまい、アニメファンからは「駄作」の烙印を押される結果となってしまったのは、非常に残念な事です。それほど!までに日本のアニメ界は予算をケチる事しか眼中に無いのかとこのCDを聴いて、日本のアニメ界の現状を嘆いてしまいました。
アニメとしての成功や失敗を重視する視点からは、このサントラのCDの功罪が問われるのは無理もない事ですが、もしも他のアニメーターがもっと台本や作画をしっかりした形で再編成し、その上でこのサントラをそのまま再利用してリメイク版を作ってもらえる事を期待しているのは私だけでしょうか?