LIVING
音だけを聴いていると、それはそれは幸福感あふれるアルバム。晴れた休日にお出かけすると、どこからともなく焼きたてのベーグルの香りがして、かわいい彼女とウィンドウショッピングしたり、風の吹き抜ける公園を散歩する、そんな感じ。だが、歌詞をちゃんと読むとそれはもう戻らない切ない恋のお話だったりする。戻らない恋の思い出は美しいものだものね。
透明感のある声と都会的なサウンドで、聴いてるこちらは、切なく美しい恋の記憶があるなしにかかわらず(笑)幸福感で満たされる、そんなアルバム。
MAMALAID RAG
何かの、誰かの、確かにそれらを感じさせるものであるが、私にはとても
心地が良く、例えば雲と青空が半々の清々しい日のような楽曲に落ち着い
て聴いて遠くに気をやるのだ。
メロディ、けだるい声、ギターのイントロ、何故だろうか新しくはないのに
このアルバムの中は全部新鮮。
突き抜けきれないもどかしさが、MAMALAID RAGの魅力というべきか、さて
今後の3人の動きが楽しみで仕方がない。
アタタカイ雨 feat.田中拡邦(MAMALAID RAG)
いつか富田さんが目をつけると思っていた。田中拡邦(MAMALAID RAG)。
大滝詠一と堀込泰行を足して二で割ったような、絶妙な声の持ち主の彼。
どちらかというと、前者二名の歌声には“張り”が感じられるが、田中の声は“張り”よりも“温かみ”の感じられる声であるところが違う。
聞くものを丸く包み込むような、何かがある。
自身が作詞作曲をするバンド、MAMALAID RAGでは、“洗練された”というよりは、まるで昭和の駄菓子のような歌を歌う彼。
だが、本作では、美しい都会の上質ポップスを聞かせてくれる。
私は彼のこういう歌がずっと聞きたかった。そういう人は少なくないと思う。
彼の非凡な歌声を、あのような歌で埋もれさせておくのは勿体ないとずっと思っていた。
(いい意味で)万人ウケするこのような楽曲により、彼の声がもっと世間に知れ渡るといい。
富田氏のプロデュース力に改めて感服。
MAMALAID RAGも富田氏が初めからプロデュースしていたら、今頃キリンジのようになっていたのであろうか。
それはそれで個性がないように思うが。
ともかく、富田ラボ名義のリリースの中でも、群を抜く名曲だろう。