ツィゴイネルワイゼン~ヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリン
私はヴァイオリニストではないが、ハイフェッツは、音楽好きとしての私の生涯に決定的な影響を与えた人間であり、「ソリスト」という人種の中でも超一級の個人が持つ人間離れしたインパクトを文字通り私に刻印した芸術家の一人である。ハイフェッツで育って後、私は金を払って「聞きたい」と思ったヴァイオリニストは一人もいない。さて、これはRCAビクターからLPで出ていたものの焼き直し。さすがに録音が古いので、最近のCDのような音質は望むことはできないが、そんな悪条件の中でも、驚異的なパッセージのこなし、全くよどみのないアルペジオ、いきなり放り込む歌うようなルバートなど、どれをとっても最近のヴァイオリニストには期待のかけらもできないような別格の芸術性が十分に伝わってきて鳥肌が立つ。これでもし本人の生の演奏が目の前で聞けたら、おそらくそのインパクトは数十倍もあろうかと思われる。ツィゴイネルワイゼンは、最終楽章・オーケストラがついて来れなくなってまだるっこしいので、完全に無視して一人で突っ走っているところが楽しい。最近の腐った商業主義音楽ならコンピュータでアインザッツを合わせたりしてしまうのだろう。バカな時代になったものである。
クインテット コレクション ゆかいな5人の音楽家 クラシック [DVD]
昔、バイオリンを習っていたので、娘にも弾かせたいなと思ってましたが、2歳半の娘はクラッシックに無関心。そこで、オリジナル版、クラッシック版と段階を踏み興味を持たせることに成功!今では自分からDVDとバイオリンを両方持ってきて、「あける」とせがみます。(一つ残念なのは、アリアさんよりスコアさんが好きらしく、バイオリンがチェロになっていますか…)子供に楽器を習わせたいと思う方は、このDVDで子供を音楽好きにしてみるのもいいかも。音楽が身近になり、大人になっても、気後れせず、音楽にしたしみがもてるようになるような出会いの作品になりそうです。演奏も申し分なく、曲もどこかできいたような身近な、そして、子供に親しみやすいアップテントな明るい曲が多く、大人だけが見ても癒されます!
高峰秀子
最近では「高峰秀子」と言うと「高峰三枝子?」と勘違いされるほど知る人が少なくなってきました。
その理由は見事な引き際にあったのではないでしょうか。
「二十四の瞳」の優しくて凛とした大石先生や「カルメン故郷に帰る」の純粋で憎めないおりん。
「名も無く貧しく美しく」の健気に生きる秋子。どの高峰秀子にも感じ知ることのなかった才能豊かな
随筆家(エッセイスト)としての側面を、変化の激しかった戦前戦後の日本映画界の歩みを豊かな表現と
鋭い感性とユーモアで表現していく姿に感動を超えてただ感心するばかりです。
余談ですが、表紙の写真は木村伊兵衛の作品です。撮られた時のことを高峰さんは「助手も連れて
こられなくて一人で来られました。ポケットからカメラ(ライカ)を取り出すと2,3枚とってさっと
帰られました。仕上がった写真を見ると見たこともない美しい女性が写っている。こういう人を
女たらしって言うんでしょうね」とおっしゃっていました。高峰さんは本当に人を見る目があった
のだと感じさせられます。