正義のミカタ―I’m a loser
主人公の蓮見クンは(三流)大学新入生。あまり家族にも祝福されない入学ではあるものの、それでも新天地、心は少しは華やいでいてよいはずなのに、冒頭からドツボなまでに辛気くさい。・・・と言うのも蓮見クンは高校時代、というかその前からずっとイジメにあい、性格もすっかりネガティヴ一本槍になってしまっていたのでした。それでも大学までくれば過去の自分を知るひとはいない。ここなら新しい生活に希望をもって・・・と思ったら、自分を一番いじめていた奴(畠田)と学内でバッタリ!!アイツもここだったの!?お先真っ暗・・・。
で、この畠田とずっと絡んでいくストーリーかと思いきや、さにあらず。ここからジェットコースターのようにストーリーが展開します。え?昔のいじめられっ子が急に強くなって畠田以下自分をいじめていたやつを全部ブチのめす??いえいえ、そんな陳腐・非現実的なハナシじゃございません。
ネタばらしになっちゃうので詳しくは書きませんが、蓮見クンはある友人とひょんなことで出会い、その出会いをキッカケに部活をはじめたことで、それまでの"I'm a loser(おれは負け犬)"一辺倒の生活が劇的に変化し始めます。クラスで一番カワイイ子とデートとか昔の蓮見クンなら考えられないようなことも出来ちゃう。その部活って・・・??それは読んでのお楽しみ、なのですが、キョーレツな先輩とその部活に誘った友人・憧れのマドンナのキャラが一ヒネリも二ヒネリもされていて読んでいて唸らされること一度ならず・・。巧い。
部活の先輩・友人やマドンナとの交流を通じ、蓮見クンには今まで見えていなかったものが少しずつ見えてきます。夢も希望も無くて当たり前、と思っていたのが、将来についてもボンヤリと考えるようになる。でも待てよ。この世は階級・格差社会、この大学を出たからって「底辺の底辺」から「底辺の上」にいく位の違いしかないのでは?世の中はどこまで不公平に出来てるんだい・・。ある先輩との会話から、自分のおかれた立場を少し客観的に見るようになる。人間はいつも上を見て生きていくもの。オレはこれでいいんだろうか・・・しょうがないじゃん?
では、蓮見クンは自他共に認める"Loser"から脱出し、「上昇志向人間」へと脱皮するのか?蓮見クンの思考・「上昇思考先輩」との会話は実にウィット・含蓄に富んだもので、最後のほうは青春娯楽小説、というよりはシリアス純文学の様相・・・。
で、ラスト。このエンディングにもしかしたら納得行かない読者もいるかもしれないけれど、僕にはピッタシはまりました。実は一瞬「?」と思ったけれど、最初からの展開を反芻すると・・・筋が一本通っている、と言うかコレしかないでしょう。実はネズミ講のハナシが出てくる後半はどうなることやら、とハラハラさせられもしたのですが最後はソーカイ。400ページ半日イッキ読み、大変面白い小説、是非一読を。
せいぎのみかた
すれ違いによる悲しい結末に涙する話で思い浮かぶのが「ごんぎつね」。
ドラフラ星人の話も基本的には同じで、お涙物の王道的展開となってます。
わかってはいても、グスッっとさせてしまうのは、さすが宮西さん。
ティラノサウルスやウルトラマンシリーズで見せた手腕がうまく発揮されてます。
確かに世間を見渡すと多いですね。ウラあるヤツが甘い言葉や誘いをかけることが。
宇宙人との遭遇を通し、物事の本質へ目をむけるきっかけとなる絵本です。