科学技術は日本を救うのか (DIS+COVERサイエンス)
日本人のノーベル賞受賞者が続いている。
あかつきの金星周回軌道への投入は失敗に終わったが、はやぶさの成功は日本人に大きな夢と希望を与えた。
本書は、高温超電導物質の研究者であった著者が、日本の長期低迷は、企業が国内で新規事業を起こさず技術革新が行われていないこと、そして巨額の国民貯蓄が巨額の財政赤字のファイナンスに回されてしまい、投資に向けられていないことが原因だとする。
その上で、著者の専門分野である高温超電導を活用した日本の進むべき道を描いている。
すなわち、住友電工が開発した高温超電導線を活用した地球規模の電力ネットワーク。超電導リニアモーターカー、高圧線の廃止による電線地中化などなど。
前半の経済分析の中では、過去20年の国別GDPの推移で、1990年までは、アメリカと同じように順調に伸びていたものがこれ以降ぴたりと伸びが止まりアメリカとのかい離が大きくなっていくさまがよく理解できる。
また、特に高温超電導の分野では、すでに実用の域に達しているのは新鮮な驚きであり、日本の進むべき方向性の一つであることは間違いがないと感じた。
ただ、前半の議論で気になるのは、旧来のGDP至上主義にのっとった議論である。
国民の貯蓄志向が財政赤字を拡大させたというのも、論理が逆である。
いずれにしても、著者の言う通り、科学技術こそが日本の進むべき方向であることは間違いがない。
物理・モーター 手作りリニアモーターキット
これは、良いです。
フレミングの左手の法則を確認し、実感するには格好の教材です。
組み立ては簡単です。
レールは紙製なので、耐久性はまったくありません。耐久性を求める人は買ってはいけません。
磁石は、粗末な強力磁石なので、実験を行うと手が黒くなってしまいます。
また、この磁石はちょっときれいにしてから、使わないと、磁石を固定する両面テープの粘着力に影響します。
磁石を固定する両面テープは自分で別途購入して用意する必要があります。
超伝導のリニアモーター実験ではないので誤解しないでくださいね。この値段ですから。
発掘!鉄道記録映像 DVD-BOX
まず要修正。内容の欄に「全13話を収録」とありますが12話しかありません。欠番は南海電鉄の回。南海がソフト化を渋るとも思えず、3話×4巻の商品フォーマットに整える、それだけのために欠番にしたとしか考えられない。「BOX版初回限定の付録ボーナスディスクに収録」とかどうにでも商品化のしようはあるだろうに…。
記録映画自体は大変に面白いです。武蔵野操車場の規模とメカニズムの精巧さが伝わってくるのは、新設当時の記録映画ならではでしょう。その後の悲運を知っているだけに、涙無しでは観られません。また、当時の鉄道会社の主張が伝わってくるのも興味深い。「生活のなかの鉄道-ローカル線」とか、タイトルに騙されちゃいけない。国鉄による、「ローカル線は私らにはお荷物なんですよー、地方の生活交通はバスに任せて廃止しちゃっていいでしょ?」という静かな訴えだったりします。あるいは、山陽新幹線岡山開通の時代には、物流もまだ鉄道に大きく依存していたことなど(つまり、旅客列車と貨物列車とで山陽本線の線路容量が限界近くなっていたために旅客列車の別線化=新幹線建設が必要だった)、現代では見落としがちな時代背景にも気づかされます。
もちろん単純に、「懐かしのあの路線が、あの列車が、あの車両が映ってる!!」というお楽しみも十分。まずは値段分の価値はあるといえるでしょう。
余計なのが司会のダーリンハニー。これといってマニアックな発言も無く、さりとて無知故の意外な視点や鋭いツッコミも無い。解説の佐藤信之先生から話を引き出す役にも立っていない。司会役が不要とはいわないけれど、これは明らかにミスキャスト(それとも脚本が悪いのか?)。
しかも、1話につき1チャプターしかないので、「ダーリンハニーが出てくるところを飛ばして記録映画だけを続けてみる」なんてこともできない。チャプターを切る手間を惜しむくらいだから、音声も1種のみ。「ダ(ryの声の入っていない、記録映画だけの音声」とか、セルDVDなら選択できて当然だと思うのですが。全13話を12話にした件も含め、「メーカーの都合優先、元のTV番組をただDVDに焼いただけ」のやっつけ仕事が残念。