ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
TV放送されたペレーニとN響とのドヴォコンがあまりにも素晴らしかったので、思わず衝動買いしてしまったこのCD。
が、かなり古い録音で、リマスタリングもされていないため、録音状態があまりよろしくない。というディスク自体の問題で星4つにせざるをえないものの、ペレーニの演奏に関しては、古かろうが新しかろうが、星5つの素晴らしさには変わりなかった。
ソロ冒頭の弾き出しからして、ロストロボーヴィチ、ヨーヨーマなどのソリストの演奏との違いは明白。冒頭は1ボウイングごと、弾き切る演奏が多い中で、ペレーニはあくまでも優しいレガートを奏でる。ここですでに好みは分かれるかもしれないが、むしろこの、なんとも言えない温かさを味わってほしい。土臭さではなく、幼い頃に嗅いだ大地の香りのような、懐かしさがじわじわと押し寄せてくる。
第3楽章の民族舞曲調な旋律ですら、荒っぽくなく、軽やかな足取りで聴き手の心に歩み寄り、すべてを包み込む翼のような懐の広さを感じさせる。ペレーニの演奏とドヴォルザークの旋律との対話が、聴き手の心の奥の共感を惹きだし、オケと聴き手との距離感を詰めてくれるようだ。
今のところ、ペレーニのドヴォコンが聞けるCDはこれだけなので、よりよい音響のものが発売されるまでは聴き続けたい一枚になった。