海底二万里 (創元SF文庫)
小学生の頃に読み耽ったものである。
最近読み返して見ると この本は小学生には難しい事が良くわかった。確かに潜水艦で世界の海を渡り歩くという話は 小学生にも十分面白いのだが それは舞台設定だけの話だ。やはり 本作の主眼はネモ船長の「孤独」にある。それを理解することは 小学生はおろか 20歳代でも難しい話である。
ネモ船長は地上に絶望して ノーチラス号で海に逃れる。どのような経緯で ネモ船長が絶望に至ったかは分からない。彼は オルガンを弾き 読書家であるという芸術家であり 同時に 何かに憑かれたかのように殺戮を繰り返す暴君でもある。この両義性がネモ船長の性格を複雑にしている。人を殺し それを悔やんでオルガンを弾くという姿は誠に鮮烈なイメージだ。書いてはいないが 曲もバッハしかありえないと今でも思う。
海底二万里は その後の多くの人に影響を与えた。「潜水艦の中に潜む神」という切り口で 様々な作品が生まれたことはその後の歴史である。その意味で 海底二万里の価値は大きい。
小学生で「卒業」出来る本ではない。是非 再読をお勧めする。
海底2万マイル [DVD]
ジュール・ベルヌのSFを映画化した1954年のディズニー作品。言わずと知れたネモ艦長の潜水艦「ノーチラス号」が舞台である。潜水艦の動力源は油ではない。ベルヌは未知のエネルギー(原子力)を予見していたのかもしれない。CGの無い時代ゆえ、特撮は実写である。海の中が奇麗に撮れている。米国の原子力潜水艦「ノーチラス」は、ベルヌのこの潜水艦にちなんだ名称である。カーク・ダグラス(「氷の微笑」の男優マイケル・ダグラスの父)演じる思慮の足りない鯨取りの銛うちを、あたかも英雄のように描いているのは米国映画の限界だろう。しかし、ベルヌの主張はネモ艦長の振る舞いに込められている。
海底2万里 ディープ・シー20000 完全版 [DVD]
海底2万哩といえば、主役はネモ船長とノーチラス号。
ディズニー版のノーチラス号はディズニーシーでもお馴染みの秀逸なデザインですが、こちらも期待せずに見たところかなりかっこいいです。
設定が、ネモ船長の娘が乗ってたり、爆弾仕掛けて地殻を安定させようなどと考えるあたりちょっと?な感じですが、ディズニー版とともに海洋SFファンは見ておいて損はないです。
海底2万マイル [DVD]
ジュール・ヴェルヌ原作の『海底2万マイル』をディズニーが映画化した作品。ヴェルヌの描く緻密かつ繊細な海底の世界を、ディズニーの持つイマジネーションと多彩な撮影方法を駆使して素晴しいものにしています!!原作を読んだ事のある人も、そうでない人も、老若男女を問わず夢中になること間違いなし☆☆ディズニーシーのアトラクションとはまったく違う美しくも恐ろしい海底の世界をお楽しみ下さい(^^)
海底2万マイル (講談社青い鳥文庫 (146-2))
私がこの本を読もうと思ったきっかけは、この本を基に作られたアニメ『ふしぎの海のナディア』を見て興味を抱いたからであった。
しかし、実際に読んでみると、この本の内容とアニメの内容とは殆ど別のものであった。だからといって、この本がアニメに劣って、つまらないものであるということではない。
実は、この本には、とても重要な意味が含まれているのだ。真の科学技術の発達、平和に生きる為に忘れるべきこと、・・・。この本を最後のあとがきまで読めばそれらの答えが少しだけ分かるのではないだろうか。