EROTIC&HERETIC
この「EROTIC&HERETIC」は、アリプロ初心者でも馴染みやすく名曲揃いなアルバムです。
CDをかけると、最初にアルバムのタイトルでもある「EROTIC&HERETIC」が
流れてきます。この曲は、ローゼンメイデンなどの曲から
蟻プロを知った人でも馴染めそうな曲です。
2曲目は「赤と黒」。これはアルバムVerとNOIRVerがあって、
このアルバムの曲は、アルバムVerです。これも馴染みやすく人気曲でもあります。
そしてアルバムで最もお薦めの曲は、8曲目の「平和と戦争」です。
これはテンポが良く、馴染みやすく人気な曲の1つでもあります。
曲調も良いのですが、歌詞がとくに心に来ます。歌詞は、
「せつない叫び声をそっと鎮められたら」や
「この星を覆うつらい歴史の先を人は歩みつづける」など、
けして明るい歌詞ではありませんが、良い曲です。
他の曲は、バラードが多いのですが、それらも全て良い曲です。
アリプロが好きなら1度は聞いてみることを勧めます。
★ちなみにCDは三面ケースで歌詞カードは横に長い一枚になっていて、
CDパックに歌詞がくっ付いている状態になっています。
ケースの柄は、魚のウロコみたいな凸凹になっていて、カラフルな蛍光っぽい色です。
f植物園の巣穴
園丁の佐田の静かな語り口に引き込まれているうち、
どこまでが現実でどこからがこの世ならざる世界なのか。
あるいは、現在と過去の境界がぼやけて、読み手も椋の木の巣穴で
くらくらとした頭を抱えているような感じ。
佐田の奥歯に空いた穴と椋の木の巣穴とが、知らずオーバーラップし、
なにやら水の匂いと音に包まれて、園丁の記憶にもぐりこんでゆく気配。
ひらりひらりと姿を変える、異界のものたち。その交感が、妙に懐かしいような
手触りで迫ってくる。
ゆらめく記憶は、まるで水のなかのような感じ。
ラストに向かって収斂していく話とともに、「坊」を「坊」たらしめる記憶が
鮮明になってゆくさまは、さながら水底から光差す水面へとのぼってゆくような
開放感と確かさに満ちていた。
それまで、語り手でしかなかった佐田という園丁に、
真実の「こころ」が見えた場面でもある。
不思議の世界を出入りし、なんだか気持ちがゆらゆらする。
身のうちの巣穴は埋まったのだろうか。
ラストを安堵とともに迎えられてほっとする。