ガンプラ開発戦記 -誕生から大ブームまで- (アスキー新書)
なかなか面白かったです。当方は30代後半ですが、小学生の頃のガンプラブームが思い出され懐かしかったです。ガンプラ初期の開発等に関する記述が大半を占め、現在のPG、MG、HGに関する記述はほとんどありません。次回作が発売されるなら是非とも後者の内容について記載していただきたいと思います。
殺人者はいかに誕生したか―「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く
犯してしまった罪は罪で、罪を恨んで人を恨まず・・・という視点になれる一冊。
奪った命は帰ってこないし、犯人の生涯は、死後も凶悪犯として残るだろう。しかし、その生育暦やその家の裏の姿に目を向けてみると、虐待や寂しさの苦痛から、必死になって耐えて生きてきた姿が見える。そして、結果として生まれてしまった凶悪犯が、そこに見える。
0号室の客 DVD-BOX1 (3枚組)
そろそろ大野智の芝居が観たいなと思っていたので即、予約した。深夜のドラマ枠は実験的な作品が多くて興味深いが、この作品もその一つ。人間の価値を測る機械により点数をつけられた人間たちが、その点数を巡って繰り広げるドラマ。若手の監督陣と脚本家による設定は実にシニカルで、怪しげなホテルの佇まいは様々な人間の心情を描くにはもってこいの舞台と言えよう。
大野智は1st storyで、その演技力を遺憾なく発揮している。一回15分×4話という短さの中に、コメディやサスペンスといった様々な要素をさりげなく見せつけられ、ああ、この人は演技がうまいなと改めて思った。まあ、これだけバラエティで癒し系キャラが浸透している彼が「エリートの俺が」と言うのに無理があるかどうかは別として、回を追うごとに「松田弘行」の心情が変化していくため、大野ファンならちょっとしたランチのフルコースを楽しめる気分だ。特に2話の最後から3話は急展開があり、「この表情が見たかった!」と思わずうなづいてしまう。
メイキング映像も撮影密着型で充実している。嵐ファン必見の爆笑発言もあり。
2nd storyは関ジャ二∞の二人がナチュラルに漫才コンビを好演している。3rd storyはまた違った切り口で真面目なテーマを描いている。
それから、横山裕がいい。『クイズショウ』『左目探偵』など、胡散臭い青年役がかなり印象に残る。
秋葉原事件―加藤智大の軌跡
中島さんの本を読むのは初めて。いわゆる「秋葉原事件」の犯人である加藤智大さんについて、取材、調査を入念に行っての1書。
極端なタイガーマザーの抑えつけで、自分をうまく表現できないまま成長してしまった彼の、拠り所とした掲示板での自虐的な書き込みが、他ならぬ自分のなりすましの登場で、自分を乗っ取られたように混乱していく過程がくわしく書かれている。この自分でない自分に自分が取り囲まれていく過程は、星野智幸さんの小説『俺俺』のまさに現実版であるだけに恐ろしい。また、世界にとって自分が交換可能なら、敵意の対象である世界も、交換可能な不特定多数の人々ということになる、という分析も正確だと思う。
しかし思想史家である中島さんが、この本を書かねばならなかった理由、踏み込みが見えないという不満は残った。これは新聞や雑誌の記者の仕事では、と思えた。