赤んぼう少女―楳図かずお作品集 (角川ホラー文庫)
この名作選、やっと入手できました。
赤ん坊少女=タマミちゃんは、思ったより
怖いキャラではなく、どっちかって言えば、こんな姿で生まれて
かわいそうです。醜い者が、美しい者を徹底的にいぢめる、と
いう、ある種のねじれたカタルシスを得られて、おもしろい作品。
『赤ん坊少女』では、田舎に行ったあたり、バッグの中に忍び込んで・・
あたりから、ちょっと話がだれてきましたが、ギロチンみたいな
台が出てきたあたり、楳図先生、こういう仕掛け研究してたんだな、
という妙な感心をしたりして読んでいました。
『黒いねこ面』は、本文庫の多くのページをさいている中編で、
時代劇の化け猫屋敷ものが、後半、時を経て現代の復讐劇に
展開する、という、当時の少女漫画のレベルを凌ぐ、壮大な劇画
になっていて、私のお気に入りです。壁に塗り込められた多数の・・
という発想もすごいけど、コマ割や表現、描写が、今どきの
ハリウッドB級ホラー映画もかくありなん、と思えるほど、その先進性
先見性は、驚異的なものがあり、楳図先生の天才にびっくりします。
貴重な1冊で手元にいつまでもおいて、また時々読み返したい
作品です。