森のなかへ (児童図書館・絵本の部屋)
アンソニー・ブラウンの作品ということで手に取りました。
最初から雷がとどろき、父が失跡、ととんでもないオープニングです。
家中貼られた「パパ、かえってきて」のメッセージが切ないです。
おばあちゃんの家にお見舞いの品を届けるよう母から頼まれた少年は、
禁止されていた近道の森の中の道を急ぎます。
突然画面は「ぼく」以外はモノトーンに。
そして出会う人々はとても暗示的です。
森の中を急ぐ少年・・・。
ラストは何ともドラマチック。
どうぞ、ブラウン作品の醍醐味を味わってください。
マルタ島攻防戦 [DVD]
一番好きな場面は、ペデスタル作戦。
戦艦、空母、巡洋艦などが、輸送船団を護っている。
そこへ襲いかかるドイツ機、イタリア機。
マルタ島を救う上で重要なのは、輸送船であり、タンカーである。
なかでもアメリカ籍のタンカー「オハイオ」は、
島民の生活や、反撃のために必要な石油を運んでくる。
軍艦は沈んでも、タンカーは沈めてはならない。
ドイツもそれを知っていて、執拗にタンカーを攻撃し、
「オハイオ」は何回も炎上し、船員は退避し、
また戻って船を立て直す・・・。
そういう状況で、満身創痍、いや沈没寸前の「オハイオ」が
マルタ島のグランドハーバーに入港する。
わきには駆逐艦が横付けして、ようやく支えている。
色とりどりの信号旗が揚がる。
見守る島の海軍提督がスタッフに命じる。
「敬礼せよ」
「しかし、軍艦じゃありませんよ」
「そうか? ・・・ 敬礼せよ」
ラッパ手が敬礼のラッパを吹き、居並ぶ将兵は、気を付けの姿勢をとる。
海岸で見つめる島民も、粛然として、帽をとる男。
さすがイギリスは海洋国。
敵戦艦撃沈なんていうはでな場面じゃなく、
タンカーが無事だった・・がこの話の肝だったりする。
我が国の戦争映画とは、一味もふた味もちがっていて面白い。
びくびくビリー (児童図書館・絵本の部屋)
頼るものができた時、あるいは信じられるものができた時、ひとは安心して、
不安をぐっと抑えこむことができるようになる。
そんな理屈をいわなくても、こんなにしんぱいやのビリーがウォリー・ドールの
おかげで、元気に日を過ごせるようになった……そのことだけでほっとします。
見てください。最初の数ページのビリーの顔。
いろんなものが心配の種になって、ビリーを不安にさせる。そして、ビリーは
そんな自分を「弱虫だ」と思う。いじらしい。子どもって、こうやって自分を探しているんだと
思うと、たまらなくかわいい。
ビリーの心配はとどまるところをしらず、自分の心配のゆくえまでを気に病むところなど
にやりとさせられますが、ビリーの想像力はたいしたもんだとほめてあげたくなります。
その心配も自分で解決して、乗りこえます。
しゃきっと歩いていくビリー、なかなかかっこいいぞ。
とんとんとん!とをたたくのはだあれ? (児童図書館・絵本の部屋)
アンソニーの画は、ちゃんと立っていて、気持ち良し。
ベッドに入った子どもの部屋に次々と怖い者がやってくる。子どもは入ってくるのを拒むけれど、スリッパはいつものやつだから、本当は怖がっているわけではありません。
子どもと親の繋がりを、ユーモラスに描ききっています。