レオナルド・ガレンテ―「長寿遺伝子」を解き明かす (NHK未来への提言)
NHK BSHIで放映された番組「NHK未来への提言」シリーズの書籍版である。
インタビュー形式で書かれており、非常に読みやすくて1時間もあればOK。
ガレンテ教授(米国MIT)は今、最もノーベル賞(医学生理学賞)に近い男である。教授は酵母の長寿遺伝子Sir2の発見者(1999年)である。SirとはSilent Information Regulatorの略である 。
Silent Informationとは眠っている遺伝子情報という意味である。眠っている遺伝子を発現させたり、逆に黙らせたり上流よりいろいろ制御する遺伝子群の事である。それによりコードされ、作られて来る酵素タンパク質の実態は、NAD+ 依存型脱アセチル化酵素(デアセチラーゼ)とわかった。
Sir はCR(糖質制限)で活性化してくる。糖質制限はサーチュインを介して抗老化司令塔(FOXO)を活性化する。結果、ミトコンドリアは長持ちするのである。Sirはその時の環境の餌の多寡により、細胞内環境をかえる一種のエネルギーセンサーであるといえる(Epigenetics)。Sirは酵母のような原始的生命体からヒトまで見事に保存されている。
教授は日本エイジマネジメント医療研究機構の招きに応じ、2007.03.25.来日され、1日2回の講演をこなされた。この魔法の長寿遺伝子Sirtuinsに興味のある方は、日本エイジマネジメント医療研究機構のホームページに今すぐアクセスして、イベント・リポート(2007.04.23.)内のガレンテ教授の寄稿文を今すぐチェックすべし!。ガレンテ教授の素晴らしい来日記念講演の要旨を何とただで読む事が出来る。
寿命、健康に興味のある方にお勧めである。
長寿遺伝子を鍛える―カロリーリストリクションのすすめ
長寿遺伝子とはサーチュリンと呼ばれ、遺伝子の発現を抑制しているヒストンに
変化をもたらす遺伝子が寿命をコントロールしていることがわかった。この遺伝子を
活性化することで長寿になるという長寿遺伝子です。
尚この遺伝子の活性化には赤ワインなどに含まれるレスベラトロールという物質が
関与する。
そしてこの遺伝子のスィッチを入れるには摂取カロリー制限を70〜75%にすれば
良いのである。
本書の要約を挙げるとこうなります。
但しカロリー制限には蛋白質、脂肪、炭水化物やビタミン、ミネラルをバランスよく
摂取するという条件が付きます。
実際に線虫に行なった実験ではその寿命が8倍に延びたという結果が出ています。
ラットの実験でも2倍以上に延びています。
人間でも効果があるはずです。2倍以上に寿命が延長するかどうかはこれから
観察していかなくてはわかりません。
実際にどうカロリーコントロールすれば良いか、運動療法は抜群に効果があるなど
細部まで丁寧に解説しています。
本書のカバーをご覧になるとわかりますが、著者は53歳とは思えないほど若々しい!
長寿遺伝子の研究はまだ始まったばかりですし、実際に長寿になるには日々の
(メインテナンス)努力も大事だと繰り返し強調しています。
ある意味、長寿遺伝子の発見は21世紀の中でも最大の発見になることでしょう。