サクリファイス
基本的に、どの曲もBGM的に流すとその場の雰囲気のグレードアップがはかれるが、やはりタイトル曲の「SACRIFICE」が最高!。曲のインテリアと言ったら言い過ぎの感があるが、夜のムーディーな雰囲気作りにもお勧めである。個人的にはハワイや沖縄のビーチで夏の太陽を浴びながら聞きたい。
サクリファイス スペシャル・エディション (2枚組) [DVD]
しばらく品切れ状態だったが、ようやく「HDニューマスター決定版」として再発されることになったのは誠に喜ばしいことである。
私は映画館でも何回か観ている作品だが、何回見ても飽きさせないほどの魅力がある。
タルコフスキーはたかが「物(ぶつ)撮り」のワンカットすらスタッフにまかせず、一日がかりで撮影するほどの監督なので、それぞれのカットが見逃せない程の意味を「持ち得て」いると思うのだ。
この作品はタルコフスキーの遺作だが、物語の「主題または象徴」とも言える「白い家」が炎上するシーンで、フィルムが回っていなかったという大ハプニングがあり、この時すでに癌に侵されていて余命少ないタルコフスキー監督は大変に落胆したが、スタッフはなんとこの「白い家」を隅から隅まで全く同じように、復元してしまった。
スタッフも、本当に凄い人達ばかりだったのだ。
編集作業にはもはや立ち会うこともできなくなり、病室にスタッフが行って、タルコフスキーから色や様々な指示を受けていた。
だからこそ、タルコフスキーの「祈り」であり、「執念」で作り上げた傑作になったのだと思う。
「HDニューマスター」をしているので、画質が向上しているのは当然だが、2枚組になっていて、特典ディスクも充実していることが、さらに嬉しいところだろう。
エデン
第十回大藪春彦賞受賞、第五回本屋大賞第二位「サクリファイス」の続編
「サクリファイス」はミステリーとしても一級品であったが、今作は自転車競技が前面に出た作品だった
ロードレースは駆け引きが非常に複雑で面白い
集団内で利害が一致するもの同士は、負担を公正に分担する紳士協定
エースを勝利させる為、アシストを駒のように配置する等
利害が一致するチーム同士が協力し合うのは理解できます
しかし、入賞の可能性が無くなったチームの者が、同国人だからといった理由等で、ほかのチームに協力する場合もあるようだ
八百長とまでは思わないが、なにか不可解な気もしてしまう
今作は外国が舞台で、登場人物の多くは外国人
日本人である主人公は、必ずしも外国語が堪能な訳ではない
主人公がアシストを勤めるエース選手は寡黙な人物といった事もあり、感情むき出しの熱血なシーンはほとんど無い
ストイックな雰囲気が読んでいて、心地よかった
ドーピングといったダークな問題も描かれていた
エースになれないことを自覚し、アシストの役割を誇りを持ちこなす主人公
ロードレースの本場・欧州で現在唯一の日本人でもある
過去のある種大きな犠牲のもと、自分は楽園にいることを自覚し、次なる自分より有能な日本人の夢の架け橋となれることを望む彼の姿には感動します