アイリーン 「モンスター」と呼ばれた女 [DVD]
見ていて、アイリーンと10年以上にわたって親交を続けた
ニック・ブルームフィールド監督の心の葛藤が伝わってきました。
友人として、アイリーンの“正当防衛”を信じたい。
一方で、ジャーナリストとして、事件の真実を知りたい。
それだけに最期のインタビュー後の2人の別れ方は切なかった。
モンスター 通常版 [DVD]
この映画は実話がベースで、悲惨というしかない悲しい女性の短い人生を描いています。モンスターと言われたアイリーンはすでに処刑されています。連続殺人犯としての死刑はやむを得ぬかもしれませんが、映画を見る限り、彼女にとってはNO WAYだったのではないでしょうか。見ていて、とても辛く、ヘビーな映画でした。この映画を事前になにも情報もなく見たら、アイリーン役があのシャーリーズ・セロンとは誰も信じられないでしょう。鬼気迫る熱演です。13キロ体重を増やしたそうですが、だからあのリアリティが出てきた。そう思います。彼女自身、辛い過去を持っていたからこの役を引き受けたのでしょうか。普通の俳優だったら怖気づく、それくらいの役づくりです。幼い頃レイプされ、13歳からの娼婦生活。彼女には心の休まる「家族」がなかった。同性愛のセルビーとの関係を続けるためにアイリーンは犯罪を重ねていくが、アイリーンにとってはじめての家族のような存在だったに違いありません。見ていて、同情をこえたある種の憐れみを感じるとともに、犯罪はモンスターでも彼女自身は若くして、これ以上はないという、悲惨な経験をし、傷つけられた被害者であり、本当は普通の女性だったのではないか、セロンの熱演はそう感じさせてくれます。ヘビーな映画ですが、ずしんとくる力作で、セロンという俳優の力量に驚かされました。