HEAVIER THAN HEAVEN―カート・コバーン・バイオグラフィー
読むことでかなり暗い気分になります。
いわゆるホワイトトラッシュの中でもかなり悲惨な境遇の中でバンド活動を始めたカート。
客観的事実を追いつつも、あまりに大きな成功を受け止めきれない彼の心境にふみこむ。
彼の死の一報を早朝に聞き、愕然とした瞬間をありありと思い出します。
娘がシンガーとしてデビューすることを聞いて「カートはどう思うだろう」と頭をよぎりました。
星は3つしかつけませんでしたが、危険な名著だと思います。
カート・コバーン『JOURNALS』
まず、カートの写真等は一切なく、極力シンプルに、
あくまで文章を読ませるという事に拘った装丁は
素晴らしいです。
内容は、アンダーグラウンドなカルチャーをこよなく
愛する青年が、思いつくままに書き殴ったアイディア帳
といった体で、そこに1000万枚以上を売り上げたロックスターの
面影は全くありません。
だから、尚更に悲しくなるんですよね。
あるいは他の人生もあったんじゃないのかなと。
余談ですが、一気に読み終えた後ふと、
「他人に日記を読まれるって気分よくないなぁ」と後悔。
すんません。かといって捨てるわけにもいかず、本棚の
端っこに封印する事にしました。
カート&コートニー [DVD]
「カート・コバーンの死」という、誰もが興味をもつ、
しかし故に色々なスキャンダラスな言われ方をする、
ある意味難しい題材に取り組んだドキュメンタリー作品だと思う。
作品中身のストーリー的メリハリをつけるために、
事件に対するコートニーの関わり方を追跡するのは当然のこと。
しかし、コートニーの悪事・悪評そして事件への関与を臭わせる証言を
そのまま鵜呑みにするのではなく、“何故そのような証言をするのか?”
“そのようなことがあった証拠は?”と疑問を持ち、
「自殺説」「他殺説」の両方を検証するところに
この監督・この映画の良さが出ていると思う。
カートの人間関係、幼少期・青年期などの生い立ちなどを調査し、
そこから死の直前の心境を解明しようとししている。
その結果により死の謎を解こうと試みている。
編集により、事件性を感じさせる部分が少し目立ったりはするが、
監督の発する言葉をきちんと追うと、なかなかまともに面白い。
Heavier Than Heaven: A Biography of Kurt Cobain
ものすごく良い。なぜならこの本は偏った見方をしていない。ある本ではKurt Cobainを軽蔑したりなぜこのような男が気に入られたのか影響を与えたのかというマイナスのイメージを叩きつけたり、ある本では彼をあまりにも神聖視しすぎていて等身大の彼を見せない場合があった。しかしこの本は悪いことは悪い良いことは良いといった感じの小学生でも解る道理に添って物語りは進んでいた。最初は心駆られてページをめくるスピードも加速するが、後半部にさしかかると読む気をなくしてしまう。なぜなら伝記が出ているということは結末が解っているということだから。最後のページまで悲しすぎてたどり着けない。全てを受け止めるには俺は弱すぎる。Kurdt Kobainの日記の抜粋を通して何を感じるかは読んだ人次第。ただそこには裸の彼がいた。英語を読めない人でも、感じることはできる。感じて理解して欲しい。
ラストデイズ [DVD]
予備知識なしで観たら意味不明・退屈でしかないと思います。
音楽は、さすがサーストン・ムーア(Sonic youth)、といった感じで良いです。
劇中に歌われるマイケルピット(主演)作の「Death to Birth」は詩・曲ともにかなり素晴らしいです。ギターは右手で弾いてるものの、カート本人を見ているようでした。
カートが好きなら、CDを聴くだけでなく、少しでも、彼自身の生い立ちから最期までを知ってから観てほしいです。
彼はなにもクスリをやっていたから亡くなってしまった訳ではないと知っていてほしいです。
この映画の意図は、はっきり言って読めませんが、何も考えずに作られた訳では無いはずです。(内容はどう見ても商業的な成功が見込めるものではありませんし。)
それについて制作側があれこれ語るのでは無く、観る側に考えさせるような作品です。
事実をもとに想像されたフィクション。
「現実に何があったのか」を明らかにしようとしたのではなく、抽象的に「人間そのもの」を描こうとしたのかも知れません。