ジョセフ・ウィリアムス
ジョセフの最近の活動は、有名曲のカヴァーをピアノのみをバックにして歌ったシリーズもの、そして、他人の楽曲を産業ロックっぽいハードサウンドで表現した「ヴァーティゴ」なるプロジェクト、に大きく2分されてきていた。で、それはどちらもファンが期待する「本格的なロックサウンドの中でAOR的な爽快感を醸し出すジョセフならでは、のサウンド」とは似て非なるものだった。
しかし、遂に本作ではほぼすべての楽曲をジョセフが提供し、TOTOのメンバー等を中心にした仲間たちと手作りで製作した本格的AORアルバム、それも毅然とソロ名義での発表だ。ジョセフの気合の入り方が伝わってくる。
ということで、アルバムの製作意義としては満点。しかし、厳しい事を言うと、楽曲自体に傑出したものが見いだせなかったのと、ジョセフのセルフプロデュースに、悪い意味での「職人気質」が出すぎた(平たく言えば、演奏に記名性も特色もなく、ただお仕事的なメリハリのない音に聞こえてしまった)点で、引き込まれるような魅力、何度も聴き返したくなる魔力を感じきれなかった。シビアに採点すると星は3つか。
これが今のジョセフのやりたい音楽なのだとしたら、ファンとして受け入れてあげるべきだが、「いやいや、ジョセフの実力はこんなもんではない!」と思いたい気持ちもある。その意味で、今後の更なる期待を込めて、星は4つ献上。
マインド・フィールズ
1999年リリースの初代ボーカリスト・ボビーキンボールがカムバックしての1枚・・・いろいろ遠回りしましたが、落ち着く所に落ちついた感じです。14曲入りでかなり気合いの入ったアルバムで、聴き応え十分の内容に仕上がっています。2曲目のボビーのボーカルを聴くと、やっぱりTOTOをロックさせるのは彼の声なんだなあと感心させられました。9曲目「マッドアバウトユー」はデヴィッドペイチと脱退したジョゼフウィリアムスの共作で、ボビーの伸びのあるボーカルが気持ちいいです!!11曲目スティーヴルカサーが淡々と歌う「メラニー」はなかなか印象に残る曲で良かったです。13曲目「ベターワールド」は卓越した音楽性・演奏力を見せつけるプログレッシヴな7分の大作・・・本当巧いバンド!!!!お帰りボビー!!