ラマン [DVD]
映像がすごくステキでした(^^)
安藤さんの神秘的な表情がとても引き込まれるような感じで観てしまいました。田口さん達男性の演技も良くて、やまださんの漫画の世界を良く表現されていたと思います。秋の夜長にゆったりした気分で観るのに良い映画です。
エリ 従姉弟関係 [DVD]
福岡監督は凄い才人である。ユニット5の一人として鮮烈なデビューをピンク映画の世界で飾った彼の仕事はいつも堅実だった。
もうあれからどれくらいになるだろうか。普通ならもう枯渇してもよいくらい。しかし福岡監督の作品がみずみずしさを失う事はない。
この「エリ」もそうした堅実な職人の仕事である。風のように自由であるようで、実ははげしくよりどころを求めている女を松尾玲央は見事に演じている。そういう彼女の生き様が、堅実なようで壊れた崔哲浩演じるいとこの人生を変えてゆくさまの描写が簡潔にして明快に描かれる。
堂々たる演出ぶりで、飽きる事がない。そんな二人を囲む、やさしさとまたそれゆえの残酷さに生きる人間群像の描写も冴え渡る。
福岡監督、まだまだ衰えなしと言わざるを得ない。
私立探偵 濱マイク 10 竹内スグル監督「1分間 700円」 [DVD]
TVシリーズの濱マイクでは、「ミスターニッポン」と「1分間700円」が特に印象に残った。エンタメに徹し、ハイクオリティな映像と洒落た演出を見せた前者、そしてこの「1分間700円」は緊張感を保った画面とストーリー、役者と出色の出来だったと思う。
画面は陰影を強調し、緑のライティングを効果的に使って鮮やかに赤を浮かび上がらせている。
やまだないとの脚本は笑いに逃げずにシリアスなストーリーを完結させた。12本のシリーズ中、意外にこの緊張感を保った路線は少なかった。
BGMは「ハワイ航路」やジャズピアノが記憶に残るが、地味なところで音響テクノが活きている。DVDではTV版と少し違っていたが。
浅野と永瀬の共演も面白い。
浅野は狂気がかかった「素」を演じさせると実にハマる。また、声だけの子役も雰囲気十分。
柄本は特にクライマックスの、死と隣り合わせに絞り出すセリフ、これを受けて立てるだけの度量を持った役者としてチョイスされたと個人的には思っている。
メインでない登場人物(の出番)を極力削ぎ落とし、「ストーリーの手応え」を追求した姿勢には好感が持てる。
オマケはメイキングと予告、OPは入ってない。
よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり
『大奥』を読んでクラクラしていたので、これも読んでみました。
対談者の萩尾望都さんと羽海野チカさんは個人的に敬愛してやまない作家であるというの
もあります。
羽海野チカさんとの対談は、原作者ゆえの葛藤と喜びについて深く語り合っており、自分
のような素人にはちょっとキツメかもですが、対談冒頭の二人の馴れ初めについては、そ
れこそ「ほほう」と感じ入りました。ここは、是非現物のご一読をおススメします。それ
から、様々な組み合わせをあげていくやおい談義は達人同士の立会のよう。
萩尾望都さんとの対談は、冒頭の『NANA』の話題からして、2人とも並みの読み手ではな
いことがよくわかります。本人を前にして、堂々たる作品論(時間軸の交差など)を展開
するよしながふみさんは、半ば微笑ましいのですが、萩尾望都さんはあまり評論めいたこ
とをいわないながら、読み手としての底知れなさがひしひしと伝わります。話の流れで、
永井豪はともかく本宮ひろ志が引き合いに出すのはかなり予想外です。
さらに、『ベルばら』を(連載時に)ライブで体験したかったと悔やむよしながふみさん
へ「今だと『テレプシコーラ』をライブ感たっぷりに大騒ぎしています」と返す萩尾望都
さんに、深くうなずいてしまうのでした。普通だと、こういう風には語れないでしょう。
この2人の対談に限らず、全体として、とても興味深いです。良し悪しは別にして、対談
相手のことよりも、よしながふみさんのことがよくわかるような気がします。
縁遠さん
本棚の整理をしながら手に取ったら、また読んでしまった。面白い。
過剰にオンナ過ぎない女心の描写が絶妙。
「くすぶれ!モテない系」を読んだ時も驚いた。
「いわく言い難い」とかでお茶を濁すような事柄を、ここまで丁寧に解きほぐして、赤裸々にあばかれると、いっそ快感だ。
快哉を叫びたい。
同じ独身女子を描いても高野文子の「るきさん」は憧れ、「縁遠さん」はシンパシーだらけ…しかし癒され度が高い。
この自己肯定感がムクムク湧いて来ることといったら。
素敵じゃなくても楽しい人生じゃないですか、なんてね。