プリンシプルのない日本 (新潮文庫)
なぜか近年の白洲ブーム。この本に書かれていることも正論です。
この本だけ読んで白洲ファンになった人は決して間違ってはいない。
一方、昭和20年代に様々な謀略に関わっていたらしい白州次郎、
この先、語られることのないであろうダークサイドも併せ持つ人物。
たとえば、下記ですが、海軍四日市燃料廠跡(昭和27年当時で532億円相当のもの)を、
わずか16億円で外資に売却しようとした白州次郎を中曽根康弘が追及した国会議事録。
↓
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/013/0514/01304020514024c.html
「吉田側近の白洲何がしという連中が、砂糖にくつつくありのように、
ぐるぐるこれを取巻いて動いている。(略)
しかも国際独占資本であるカルテックスとかシェルとか、(略)
あれをとりさえすれば外資を入れられるということからやつている。(略)
しかも応援を願う入れる人間が問題だ。白洲何がしというものを入れたらとんでもない。」
この様な、戦後史のフィクサーとして大きな権勢を示した一面と、
親しい人々に見せる独自のプリシプルに支えられた硬骨漢の素顔、
この二面性を矛盾なく併せ持つ白州次郎とは何者なのか?
この人物に正当な評価を下せる、資料性の高い評伝が今後出版されることを望みます。