美しく燃える森 ( シャレードコミックス ) (CHARADE BOOKS COMICS)
既刊3巻一気読み。面白かった。
が…。
正直、2巻の感動的ラストで終わってた方が良かったのでは、と。
3巻。表題作。はっきりいってキツかった。
例え昇にああいう「過去」があったとしても(唐突すぎるが)、
記憶の底に封じ込めてなかったことにしてしまう?昇が?
勇気に病気を移してしまうかもしれないのに
セックスをする?コンドームをすれば大丈夫って?昇が?
勇気の言葉に心が洗われて、涙して、
「ずっと自分を許したかった」って。自分のことだけ?昇が?
違う人みたいだよ…。
これまでの性格付けは何だったんだろう?
作者はどこに向かおうとしているんだろう?
何だか哀しかった。とても。
思ったほどこのカップルは本音を出し合えていない。
これがBLでなければ、「別離」がいいのだろうか。
昇が年を取ったから変わったのではない。
作中時間は思ったほど経ってないのだ。
だけど、現実時間は最初の再会(1996年)から随分経ってしまっている。
時間のギャップが作品を置き去りにしないよう、
「いい」ラストを…やっぱり期待してる。
夢を眠らせない
松阪晶子の曲の中で好きな曲を挙げ出したらちょっとキリがない。 ハマったきっかけは「満月」だった。 最初から最後までくまなく好き。 曲、詩、声、全てに力があって圧倒された覚えがある。 まるでその情景が見えて来る様な詩の世界が特に好きで「まっすぐに」では彼女の声でなければここまで心に響くメッセージ性は得られなかったのではないかと思う(勿論詩のパワーは十分ある上で)。 とにかくズンと来た。 作品を重ねる度に、曲調がかなり女性らしい繊細な路線というか内容になっていった様に思うし、それはそれでまた見事にハマったのだが、パワーという点においては色々な意味でこのアルバムが一番かな。 人の弱さとか葛藤、強くなろうとする気持ちとかが全ての曲にギッシリ詰まっている。 しかも繊細でありながらストレート。
真夜中を駆けぬける (シャレードコミックス―勇気×昇シリーズ) (Charade books―勇気×昇シリーズ)
依田流ラブコメディの真骨頂!
主人公の勇気と昇が出会って別れて、またひょんなことで再会し・・・という感じに、この二人相思相愛なのに勇気のいい加減さに昇は振り回されて離れたりくっついたりその丁々発止のやり取りが実に面白い!!
しかしそこでコミカルなだけで終わってしまわないのが依田流!! 二人が周りの影響を受けながら内面的に変っていく様が実に分かり易く納得いく展開を見せてくれる。登場人物たちの考え深げな表情の中に色々な意味合いを見せるだろうシリアスな展開も、軽やかに笑わせてくれるそのさじ加減の絶妙さを堪能して欲しい。と、うんちくを言ってみましたが
とにかく面白いからイッペン読んで!!!
千の花―真夜中を駆けぬける 2 (シャレードコミックス) (Charade books)
この人の作品はどれも素晴らしく、
可愛らしく上品なのに、
心の方が先にいかされてしまうような、えもいわれぬムードと色気があります。
(「真夜中を駆けぬける」のp.31なんてもうクラクラ・・・)
特にこのシリーズは、知的にもくすぐられる緻密なストーリーと
深く心に浸み入る情感を描いた描写の見事さで、
数多のBL作品の中でも傑出しています。
作者の深く物思う心や
遥か遠くを見つめる静かな眼差しを映したような 登場人物達の心の声。
ストイックに描かれているのに、なぜか内面の情動を切ない位に感じられる
主人公達の美しい表情やしぐさ。
繊細かつ雄弁に描かれた、セリフをおさえたカットの数々。
それらのシーンの合間からは詩情さえ感じられ、
時に胸を衝かれる程の強い情愛を描いているはずなのに、
読後にリフレインされる印象は、限りなく静謐な美しさを湛えた世界・・・。
6年の歳月を紡いで丁寧に描かれた、この作品を読んでいる時、
なぜか私の頭の中には
パット・メセニーの"IT'S FOR YOU" が自然に流れてきました。
他の何にも代え難い存在と気付いて お互いを終生求め合ってゆく
主人公達の近くて遠い「心の旅」を描いたこの物語に、
何故か微かな寂寥感が流れているように感じるのは、
人であるが故の心の移ろい易さに 諦めと恐れを抱きながらも、
変わらぬ思いをもお互いの胸の内に秘めて 歩み寄ってゆく主人公達の姿が、
神聖な巡礼者の様にも感じられるからかもしれません。
その”さみしさ”が、この作品に一層美しい印象を与えている気がします。
読み直す度に、この作家に出遭えた僥倖と 生きている喜びを感じられる程に、
充足感と幸福感を私に与えてくれる本です。