ホールド・ザット・タイガー!(1933 - 1940)
ここには影が全くない。生きるよろこびに溢れている。
何という楽しさだろう。この人の初期ソロ演奏に
はまったら、しばらくは他の人のジャズピアノが聴けなくなる。
ユーロアーツ ドキュメンタリー ピアノ、その300年の歴史 [DVD]
ピアノの歴史を概観する場合,『カラー図解ピアノの歴史』(河出書房新社)にしろ,『ピアノはいつピアノになったか』(阪大リーブル)にしろ,チェンバロから始まってヨーロッパのピアノの変遷をたどるのが常ですが,この番組は後半はアメリカのピアノに焦点が当てられています。当然、スコット・ジョップリンのラグタイムやジャズ演奏におけるピアノについて触れられているのが特徴で,その分、前半は物足りない内容になっています。最後は日本のヤマハにスポットが当てられていて、ピアノ及びピアノ音楽が本家本元のヨーロッパから始まったものの、アメリカで発展し,いまや日本を経てアジアへ進出している歴史が語られています。
アート・テイタム~ベン・ウェブスター・クァルテット+3
アート・テイタムとベン・ウェブスターが共演した1956年の名盤。素直にテイタムの超絶技巧に感嘆し、ウェブスターの表現力にヤラれる。
でもなにより切り離せないほど一体になった二人のフィーリングに驚くんだなあ。
ここでのウェブスターのテナーサウンドはとにかく広くて、なにかもう柔軟な演出というものをこえ楽器そのものに同化してるみたい。
何もない中空から音がにじみ出すみたいだもん。ぶあつくて柔らかい音色がドーム状にかぶさってくるの。とっても優しい。
しかし、その一種輪郭のみによる主張のなささ加減は聴き手に依頼しすぎの感があるようで、それを完全に補ってしまっているのが
テイタムのピアノタッチ。まさに滑るって言葉が最も適切だと思うんだが、上記のウェブスターが創ったドーム状のサウンドの内側を、
まるで滑るように自由自在な骨組みを創っていってる。
逆に捉えれば、この間断ない下地があるからこそ安心して、というより好んでこんな張り付け方をしてるともね。どちらにせよまったく
切り離せないものになっている。
そして結局、このドーム内の空間は包み込まれるように温かい。尚且つ飽くことのないインスピレーションが横溢している。同じ心地よい
と言っても、小刻みなスウィング感というよりは揺り籠のような空間が心地よい。
ジャズと一言で言ってもスタイルはさまざまあるし、何を求めて聴くかも各々違うだろうけど、僕にとってはこの飽きない心地よさが
ジャズそのものかも。いつでも遙か懐かしいのに、なぜか矛盾するかのような新鮮な好奇心。だから無邪気に恋しがる。