20世紀の音楽遺産~軍歌(2)IMMORTAL WAR-TIME SONGS
超優良、とはまでは行きませんが、
優れた軍歌のCDであるといえると思います。
軍歌CDを買い始めて、3枚目、4枚目ぐらいで買うと良いです。
優れているわけは、「戦前録音と戦後録音」、「良質音源と劣悪音源」、
「有名曲とマイナー曲」がそれぞれ混交されて収録されているものの、
全体として優良な音源が多いからです。
特に優良な録音としては、
「日本海海戦」「橘中佐」「如何に強風」「艦船勤務」「陸軍士官学校校歌」。
すべて戦後録音ですが、原曲のイメージを損なわない、
優れた録音であるといえます。特に「陸軍士官学校校歌」は秀逸。
他にも「江田島健児の歌」は全番を歌い上げている点で評価できます。
逆に劣悪なものとしては、
「血潮と交えし」「上村将軍」「ブレドウ旅団の襲撃」。
曲名としてはマイナーであり、そこに収集家は引かれるかもしれませんが、
これらは元軍人のアカペラによる戦後録音です。
アカペラというと聞こえはいいかもしれませんが、
実際は聞くに堪えない素人の合唱に過ぎません。
どうしてこんなものが収録されているかというと、
昔キングがこのアカペラだけの軍歌集を出したのですが、
それがおそらく売れなかったので、ここに曲目をうめるために
出てきてしまった、というわけです。いわば不良債権ですね。
それ以外の曲は標準的なものです。
あと、「星落秋風五丈原」は、諸葛亮を題材にした土井晩翠の
かなり長い詩の一部に曲をつけたもの。
詩自体は難解な字句の連続ですが、
三国志がお好きな方は楽しめる曲です。
海底二万里 (創元SF文庫)
歴史的名作である作品自体については、泡沫レヴュアーごときのレヴューをわざわざ読む必要はないでしょう。ちゃんとした書評を読まれると良いです(敢えて一点だけ。名作ですが現代人には多少冗長かもしれませんので注意)。当レヴューでは、あくまで「商品として」の「この集英社文庫の新版」について述べさせて貰います。
(1)長さからして恐らく完訳です。
(2)訳文は(何種類もある他の訳者の文と比べて)別に良くも悪くもありません。
(3)挿絵は一切ありません;私としては挿絵のないヴェルヌってのはサビ抜きの寿司みたいなもんだと思いますがね…。
(4)表紙絵は…何のつもりですかねえこれは。旧「ジュール・ヴェルヌ・コレクション」も基本的には内容と無関係な画を表紙にしていましたが、あれはSF画の巨匠メビウスの美麗な絵でありまだ良かったです。このチープで的外れな絵はどういう層にどういうアピールをする意図なんでしょうか。…念のために注意しておきますが半人半蛸の妙齢で艶やかなご婦人は本作には登場いたしません。
私としては、むしろ創元SF文庫版か福音館書店版をお勧めします((3)と(4)が気にならない方なら別にどれでも良いと思いますが)。