青春の門-筑豊篇- DVD-BOX
同じ原作のこれまでの作品と比べ、特に優れているとは思えない。
ただ、タエ役を演じた鈴木京香さんは、なかなか奮闘。また、信介の子ども時代を演じた泉澤祐希くんも好演している(後に『白夜行』やドラマ版『砂時計』でも好演している)。
ビックリしたのは、サラ・ブライトマンさんの歌う『A Whiter Shade Of Pale(青い影)』。ドラマ全体とも合っていたが、何よりも筑豊の風景とすごく合っていた。筑豊の風景にこの曲が流れるシーンは必見。
夜明けのメロディー
この曲は、詩が素晴らしい。また、その曲が詩の意味を最高に表現している。自分のむねの中にしみこむように、すぐ覚えてしまった。演歌ばかりのカラオケ会で、女性客の中から「あーもったいない」と叫ばれてしまった。私にとっては、近年最高の1曲です。
親鸞 (下) (五木寛之「親鸞」)
大衆文学の担い手であることを任ずる大家が、官僧としての栄達を捨て俗中の聖として最下辺の大衆に分け入って布教した親鸞を、エネルギー溢れる筆致で書き上げた。70代後半にして、生涯の代表作のひとつに数えてもいい長編をものするパワーを支えているのは、浄土真宗の信徒としての、信仰の力か。
聖人の評伝のような物語を期待すると、嬉しい裏切りにあう。冒頭から活劇を観るような楽しさで、まさに血湧き肉躍る展開。物語の推進力にぐいぐい引っ張られ、飽くことなく読みきる。詳しいことのわかっていない親鸞の生涯ゆえ、余白を作家の想像力が思う存分羽を広げ、魅力溢れる登場人物が縦横に駆け巡る。
物語は得度前から越後に流罪されるまで、天寿を全うした親鸞の前半生を描く。
悪の権化、黒面法師が死んだか不明で、東国で活躍しているらしい川原坊浄寛の出番が後半ないところをみると、作者は続編を書く色気をのこしているように思えるのだが。
我が家は菩提寺が浄土真宗で、報恩講などで読経するたびに、なんでナムアミダブツじゃなくて、ナモアミダンブ、なのよ。へんなの。永い間唱え続けてなまっちゃたのかしら。
なんて思っていました。教義にはまったく興味なかったんです。いろいろ勉強になりましたし、俄然、もっと知りたくなりました。
読んでいる間、頭に浮かんだのはキリスト教です。法然は禁欲的なバプテスマのヨハネ、親鸞は酒を飲み女房もいた(多分)キリスト、傀儡女(くぐつめ)と恵信は二人合わせてマグダラのマリア、阿弥陀信仰はマリア信仰、なんてね。
大河の一滴 (幻冬舎文庫)
本当につらいと思う時にかけられる「頑張れ」という言葉に疑問を感じた事はありませんか?最近、流行の癒し系より心の底にどぉ~んとくる本です。
「こんなにすばらしい本なのに、なぜレビューがないのだろうか。」レビューが必要ないほど有名だというのがその原因なら、私がレビューするのもおこがましいのですが・・・。
青春の門 [DVD]
北九州は今でも10人に1人はほにゃらら団かその関係の人だそうだ(ウソだろう、と思うかも知れないが、現地の人が言うところによれば、そういうことになるらしい)。
その風土はいかに作られたか。というのがこの映画を見ればわかる(五木寛之の原作読んだ方がいいんだろうが、面倒くさいし2時間半で済むから映画の方がてっとり早い)。
なぜほにゃらら団に朝鮮人が多いのか、ということもこの映画を見ればわかるだろう。早世した故・浦山桐郎監督の夫人は在日の人なのだそうである。だから「本筋からはやや浮きすぎている」と感じられるほど、河原崎長一郎が演じる朝鮮人と吉永小百合の心の交流が描き込まれているが、それは間違いなく浦山の拘りなのだろう。
それにしても、尾崎士郎の「人生劇場」といい、なぜ彼らは早稲田大学を目指すのか?(そもそも「青春の門」は「人生劇場」へのオマージュなんだろうけど。総理大臣からほにゃらら団までというのが早稲田らしいが)。
あと、この映画の特筆すべきは真鍋理一郎の音楽だろう。「日本の夜と霧」ぐらいしか思い浮かぶ代表作品がないが、このスコアは何度聞いても素晴らしい。