永田町奇譚
上杉隆さんは言わずとしれた「官邸崩壊」の著者で、
麻生太郎が首相に就任するときには、週刊文春で一人だけ
「早期解散はない」と署名記事を書いていたのをよく覚えている。
とぼけたツイッターを見て面白いジャーナリストだなぁと
思ってたら、この「永田町奇譚」の表紙には「自称ジャーナリスト」と
ある。ほんと妙な兄さんです。だから、ついつい上杉さんの
本は手に取ってしまう。
立ち読みで終わらせることも多いけど・・・この「永田町奇譚」は
とにかく分厚いので買いました。分厚いのに1300円ならいいかと。
ついでに、自分の購買意欲を駆り立てたのは実は上杉さんの対談相手の藤本順一さんが
なんだか上杉さんに負けず劣らずヤバそうなオジサマであることがわかったから。
あの上杉さんが藤本さんに一目置いていることがひしひしと伝わってくる。
それも上杉さんのことだからおちゃらけてやってるのかもしれないが・・・
内容としては政治の混乱期をひたすらメッタ切りにする政治初心者にも
わかりやすい政治入門書といった具合。なるほど、こうやって政治家の
心理や力関係を分析するのかあ、と勉強になるのは間違いない。
一番感じたのは、あまりにも人間臭すぎる政治家(特に首相)の実態。
上杉さんと藤本さんがその政治家に愛情を持って批判しているのも
伝わってくる。
残念なのは、愛ゆえか、編集者の手前か、出版社の手前か、
お二人が知っていることを全部吐き出している感じがしない点。
東スポの連載をまとめたようなので、きっともっと過激な発言を
してると思うんだけど・・・
それと、政治家の力関係とを図で示したり、注釈を充実させて
くれるともっとわかりやすいかな、と。その辺を差し引き、次回作に
期待して☆3つです。
日本を診る
著者が鳥取県知事を退任して、大学教授に就任したと同時に雑誌「世界」の連載が始まり、今回其れを纏めたものである。内容は雑誌に書かれているだけあって、非常に読みやすく、分かり易く書かれているのが好印象を受けた。読み返してみても政権交代前の自民党の末期状態から民主党が政権交代をなし得て鳩山政権の熱狂さめやらないまでのものを収録してあります。改革派知事として名を馳せただけあって切り口、分析は鋭いモノがあります。現在では総務大臣に就任しているので、この雑誌に書かれたことをそのまま診断し、治療を行うことは難しいことなのかも知れません。日本政治、地方自治など著者の「日本を診る」を読んでみて、総務大臣の仕事ぶりを判定するのも良いかも知れません。また、本書の中に対談集も(タナカ秀征、熊本県知事)なども読み応えがあります。
小鳥と柴犬と小沢イチローと ー日本を面白くしてしまった政治家47人の罪と罰
政治の本というとは、天下国家を語るもの。そういう常識を上杉隆は飛び越えた気がします。
考えてみると政治家って実はアイドルと同じ人気稼業。ところが普段のニュースではその政治家の人となりなんてのは全く伝わってきません。アイドルや歌手が歌番組でどんなに活躍してもわかるのは歌唱力だけ。彼らがトーク番組に出演した時に「あれっ? お高くとまっているのかと思いきや意外に面白いヤツじゃん」などと感じるあの瞬間を思い出して下さい。
上杉隆の『小鳥と柴犬と小沢イチローと』はそいういう本です。47人の政治家について上杉隆が日々付き合った感想を独特のゆるい文体で描き出すものになっています。
ここしばらく上杉氏の興味は小沢一郎に対する大手マスコミからの総攻撃を批判することにあったようなので、タイトルにも小沢氏の名前が入っていますが、別に一冊まるまる小沢論みたいなものではなく、むしろ『日本を面白くしてしまった政治家47人の罪と罰』というサブタイトルの方がよく本の内容を表しています。ですからどちらかというとこのサブタイトルが刺さった方に強くお勧めしたいと思います。
大真面目に天下国家を論じる本が読みたいのならこの本はちょっと違うかもしれませんが、逆に政治家の素顔が垣間見られる本なんてのは空前絶後なのではないでしょうか(たぶん)。政策や発言がどんな人格を背景になされているかというのは、結構重要なポイントであるようにボクは思います。そういう意味ではこの本は得難い一冊です。
あ、ちなみに読むなら早い方が良いと思います。基本的には生ものです。2010年という今読んでおく(まあ年が明けたらダメというものでもないですが)方が美味しく召し上がれると思うのです。
レッツ・ゴー!永田町 ― オリジナル・サウンドトラック
このサントラの音楽は、政治のニュースやいろんなニュースの場面で登場するので、一度は耳にしていると思います。時には、自分を奮い立たせてくれる音楽だと思います。