チュノ~推奴~ DVD-BOXⅠ[DVD]
本作は,韓国で最高視聴率35%を超えた歴史ドラマ(全24話)です。時代背景は,清の人質となっていたソヒョン世子が8年ぶりに帰国して1カ月後に謎の死を遂げるという,「必殺最強チル」とかぶりますから1640年代,16代仁祖国王の時代という設定です。
ドラマの題名となった「推奴」とは,逃げた奴婢(ヌヒ)を捕まえて報酬を得ることを生業としている「推奴師(チュノサ)」という職名にちなんでつけられたもので,主演のチャン・ヒョクssi(イ・テギル役)がこの推奴師役です。
チャン・ヒョクssiの史劇出演は今まで「大望」と本作の二本だけだと思いますが,史劇とは言っても本作ではボロボロの衣装を身にまとい,モロにご自慢の肉体美をご披露されていて,ファンの方には堪らないシーンだと思いますが,演技的には史劇初出演のオ・ジホssi(ソン・テハ役)に押されていましたね。
ヒロインはテギルの初恋の相手を演じたイ・ダヘssi(オンニョン役)で,奴婢となって逃亡の身となります。そして,共に逃亡の身となるのがテハで,これを追うのがテギルという構図です。
ドラマは“逃げる,逃げる,追う,追う”プラス“殴る,蹴る,斬る”という,アクション中心の展開で進みます。
ただ,前半部分でエネルギーを使い果たすかのように突っ走りますので,24話まで息切れしないかと逆に心配でした。
史劇ですから露骨な三角関係という演出は有りませんが,ほのかなラブストーリーも感じられ,フュージョン時代劇ならではという自由性が生かされ,後継ぎをめぐる王朝の陰謀の渦へと巻き込まれていくという,韓国史劇の十八番を配置することによって,時代劇ファン,現代劇ファンの両方を取り込み,見事24話を乗り切りました。
おまけ:チャン・ヒョクssiは本作の番宣のために日本で記者会見しましたが,インタビューアーにモテモテでした。やはり彼には現代物の方がよく似合うと感じる会見でした。普通史劇の会見で投げキッスはしないでしょう。
Riff-rain
他のアルバムの曲を聴いて音の綺麗さでノックアウト
その曲が収録されてるアルバムにしようかと思ったのですが
ジャケットのデザインが好みだったし
こんないいアルバムを作るバンドなら他のでも安全だろうと思い即買いしました
音の透明感と歌詞のクオリティの高さには脱帽です
エレクトロサウンドとバンドサウンドを合わせているという事で
マニアックさが出てとっつきにくいのかと思いましたが
それが上手く合わさって良質のポップソング、でもロックな内容になってます
小説 東のエデン (ダ・ヴィンチブックス)
本来ならば綿密な打ち合わせを経た上でプロの小説家に依頼する
という手法もありうるが(例えばガンダムの福井晴敏のように)、今回
敢えて監督自ら筆を取っている。アニメ本編含め原作としての本作の
アイデアの抜群の面白さは映像化された本編を見れば一目瞭然だが、
こちらは文字媒体である小説。まさにシナリオ的な、というと非常に皮肉
めいた言い方になってしまうが、多くを語らず箇条書きの実に簡素な、ただ
情報を羅列しているだけのようにも見えてしまう文体は、確かに解り易く
非常に読み易いのではあるが、ある意味でそれは脚本家であり、演出家でも
ある神山監督の、無骨なまでの一表現者としての飾らぬ姿であると思う。
『東のエデン』には開始当初から、近未来のサイバー社会というSF原作を
下敷きにしながら実に監督らしい社会派ドラマが展開していた攻殻SAC
(攻殻はそれに刑事ものタッチの熱血漢ぶりが加味された硬派な情熱を
感じる作品だった)に付随する背景を自ずと感じてきた。ただ電脳サイバー
刑事ものが、若者向けのサスペンス恋愛ドラマに姿を変えたようなもので...
しかし9課の面々(特にトグサ)が社会の膿をえぐり出すための間接的、
直接的行動を取っていたのに対し、エデンでは滝沢が主にその役割を
担っているようだが、今回は事件の当事者であり同時に傍観者。そこに
咲という一般人が加わることにより、よりリアルな現実感を感じさせ、
アニメの羽海野チカのポップな絵柄も手伝い、その今日的なリアル感が
いや増す。そうでなくとも小説版でも、そういった咲の現実と滝沢の現実が
交差する様は、それなりに読み応えがあり、次第に世界的な大きなうねりに
巻き込まれていくスリリングな荒唐無稽ストーリーに作者としての監督
自身の、アイデアマンとしての並々ならぬ才能を感じるのは確かだ。
決して作家という呼び方はできないかもしれないが、それでも
確かに「表現者である」と言うことはできる。本作は(よくも悪くも)
そういった一個の真実を示した一つの形であると思う。動画背景や
音楽ともども堪能できるアニメ本編に付随する形で、それを文章として
改めて読み込むことで新たに肉薄できる部分もある(例えば序盤にて
セレソンの一人であった刑事、近藤が何を考え行動していたかなど)。
映像で瞬間的に追随できない内容の詳細などもだが、そこには監督
自らが本作で描きたかったことの全てが内在しているのだろう。
East of Eden: (Centennial Edition)
ジェームス・ディーンがキャルを演じたあの映画は、後半のごく一部です。原作はキャルのおじいさんの代から始まります。
キリスト世界における善と悪の対比が何度も象徴的に出てきます。
アダムの父(悪)と母(善)、アダム(善)と兄チャールズ(悪)、アダム(善)と妻キャシー(極悪)、
そしてアロン(善)とキャル(悪)。また、善悪入り混じる強烈な出生のエピソードをもつのは、登場人物の中で唯一東洋人のリー。
しかし作者は「悪を克服する勇気の無い善は、弱さにすぎない」とでも言っているようです。
そして、人はその人生を、悩み苦しみながら自分で選び取っていくのだと。
脆弱なアロンは滅びてしまったけれど、罪を犯し後悔の涙にくれるキャルには希望があり、未来があるのです。
キャル達の母キャシーの極悪ぶりが強烈。キャシーのエピソードだけでも、原作を読む価値がありますよ。
新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)
表題の『走れメロス』(太宰治)の他、『山月記』(中島敦)、『藪の中』(芥川龍之介)、『桜の森の満開の下』(坂口安吾)、『百物語』(森鴎外)の、現代版劣化コピーという感じです。
「劣化」は言い方悪いですが、劣化のさせ方が著者らしくて面白いです。
『山月記』は、原作が大好きなのもあってか、楽しめました。
原作のダメ人間ぶりが、著者のよく書くダメ人間によくマッチしていて。
にしても、原作:虎に化ける→新釈:唾に化ける って。。
『桜の森の満開の下』は、原作:山に住んでた鬼が都に移住→新釈:京都に住んでた著作家目指す学生が東京に移住。
これは普通に現代的な恋愛小説として楽しめました。
文体もそれぞれの原作に似せていて、よく勉強してるなーと思いました。(やや僭越か)
どれも、原作は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)あたりで無料で読めちゃいます。短編だしすぐ読めます。
もともと原作を知ってると面白さが倍になると思われます。