Golden Week for the Poco Beat
M-1ウェルカム感いっぱいの笑顔で牧歌的にポップなリズム、
うっかりするとサザエさんのエンディングとごっちゃになりそうな絶妙アレンジ、
M-2,3インド映画のサントラみたいにカラフルでポップな帰り道、
お家を通り過ぎちゃいそうなご機嫌な酔っ払いの朝帰りソングか?
M-4いきなりのGSチックな展開に驚き、
M-5のシーン入替を示唆するようなインスト曲とM-6のスキャットの後、
M-7,8,9が後期エゴ・ラッピンを思わせる昭和歌謡ロックの大マジな展開に感心する間もなく、
M-10のこれまた巨大なシリアス・モードの曲を歌い上げ、
M-11で再び日の出を見ようかというくらいピュアなアレンジをはさみ、
M-12でそうはさせまいと田舎娘がロンドン・パンクを差し向かいで語らって帰らせないしつこさをみせ、
M-13最後は飲み疲れたのか、子守唄のように静かに聴こえてきて眠る
そんなひどくまとまらない感じでいっぱいのアルバムなのに、
ヴォーカルの娘っこのジュリー・アンドリュースばりの小気味良い歌い上げ方ひとつで
不思議とまとまった世界観を確立しちゃってるからすごい
探してたどり着くタイプのバンドじゃないだろうけど、
うっかり出くわしたもんなら、私同様はまっちゃう音楽ファンは多数いるだろうなと思う
たいくつしないインディ・ポップでたまに聴くにはすごくいいアルバムなのでおすすめします!
poco A poco
冒頭の「Rain」は、彼女のヴォーカルが収められています。結構上手いですね。甘く少し切ないような声に特徴があります。小さい頃から音楽に親しんでいたわけで音程は正確ですし、情感の込め方は女優ならではの感情移入を感じました。
テレビでも感じましたが、美しい外観だけでなく、しっかりとした内面性が音楽にも表出しています。抒情的で印象的な「my place」なんかは、ドラマの挿入歌にぴったりです。
とここまで書いてから、リーフレットの解説を読みますと、この曲も含めて結構テーマ曲に使用されているのですね。
「Together」「Two」「Moonshine~月あかり~」「ちりとてちん」メインテーマ・ロングヴァージョン、と半分がそうですから、その実力ぶりが伺えます。ピアノ演奏のテクニックもありお嬢さん芸ではありませんね。
「未来予想図II(ピアノヴァージョン)」では、ピアノ演奏家としての評価が問われるものです。このようなバラードをピアノ・ソロで演奏するのには、相当勇気がいることで、アレンジも彼女自身の手になるものですから、なおさらです。美しい演奏でした。もうひと工夫できるとか、感情の込め方をより豊かにできればもっと良いでしょうね。今後の課題かもしれません。欲を言っていますが。
映画「ピアノの森」主題歌の「Moonshine」での内省的で抒情的な世界が好きです。憂いを含み、感情の揺らめきを音に乗せ、光が差し込むような色彩の変化も感じられ、作曲家としての力量が伺える佳曲です。
「すこしずつ」を意味する音楽用語『poco a poco』のとおり、彼女の才能のより一層の開花、特に作曲家として、これからも見せてもらい、聴かせてもらおうと思っています。
ライヴ・ポコ
米国出身のカントリー・ロック・バンドの、’71年発表のライヴ盤。
陽気で朗らかなカントリー・ロックと言ええど、流石実力者揃いのバンドだけあって、その正確かつ余裕を感じさせる演奏力には屈服させられる。
特にそれを感じさせるのは、ライヴならではの58のメドレーだ。攻撃的でもなく、過剰な緊張感はないのに、テクニカルな演奏を和気藹々とやっている楽しそうな雰囲気に、知らず知らずのうちに引き込まれてゆく。
また、コーラス・ワークも抜群で、気取りのない自然なハーモニーは絶品だ。
カントリー・ロックの魅力を余すことなく伝えてくれる、和やかで楽しさのある中に、緊張感が潜んでいるのを実感できるライヴ盤である。