ビーチ・ボーイズのすべて (エイ文庫)
マイルス、ディランと続き、著者のロジック(なにも考えてない人=天才)はブライアンでも炸裂。「しかも、マイクとの対比でブライアンの天才とイノセントがわかりやすく、というか、おもしろおかしく語られています。著者の視点は「愛と笑い」なので、天才はネタとしては美味しいでしょう。
ペット・サウンズ (新潮クレスト・ブックス)
ビーチボーイズの歴史的名盤、ペット・サウンズに対する偏愛に満ちた評論を、村上さんが偏愛に満ちて訳出した。
訳文の所々は村上さんのヴォイスと著者のそれとの区別がつかなくなっている。(と、僕は思うのだが)
1961年のデビュー以来わずか4−5年ほどで頂点に上り詰め、その後、長い苦難に満ちた道のりをたどる(今もたどり続ける)ビーチボーイズの、まさに絶後となる名盤、ペット・サウンズ。
伝説のアルバム「スマイル」が世に出ていれば、ビーチボーイズもペット・サウンズも全く違った運命が待ち受けていたのだろうが、神は、歴史は、彼らにこの1枚しかお与えにはならなかった(とはいっても、ビーチボーイズには他にも名盤、名曲はいっぱいあるんだけど、不朽の1枚となるとやはりコレになるようです)。
本書は、そのペット・サウンズの1曲々々について歌詞や旋律、演奏をいつくしむように丹念に評している。
まさに偏愛なくしては成しえない仕業。
巻末には村上さんのゴキゲンな解説もついていて、ビーチボーイズファン、村上ファンには堪えられない一冊でとなっている。(と、このあたりはもう一人の偏愛者、萩原健太風。でもないか)
Smile Sessions
ついにオフィシャルで出てしまった「スマイル」。
これまでブートでしか聴けなかった内容、見られなかったジャケットや写真が
堂々とオフィシャルで出ているのを見るのは何だか変な気分がします。
しかもこの、同一曲のセッションがずらっと並んだ感じ、
あの有名なブートを思い出すのですが…。
多くの人の興味は、4枚のCDに収められた録音セッションにあるのではないでしょうか。
収録内容についていえば、
ブートで聴いたのと同じものもあり、
ブートにはなくてここで初めて聴いたものもあり(けっこう多い)、
ブートにはあったけど今回は選ばれなかったものもあり、という感じです。
つまりこれまでのブートと同様に、膨大なセッションから選んで収録しています。
当たり前ですが、「スマイル」セッションまるまる全部が入っているわけではありませんので、ご注意ください。
印象としてはトラック・セッションが中心で、「Heroes and Villains」以外のヴォーカル・セッションは少なめ、という感じです。
さすがオフィシャル、どのテイクも音質は最高です。
信じられないほどの高音質になった「The Old Master Painer」や「Mrs. O'leary's Cow」に感激したり、
カールの「Tune X」とかデニスの「I Don't Know」といった、ブートでもあまり聴けなかった未発表曲に触れたり、
ブライアンがマイクの中に落ちちゃったとかいうコントを聴いて
「スマイル」はスネークマンショーの元祖だったのかと妄想したり、
マニアにとっては聴きどころ満載です。
「スマイル」のことを考えて夜も眠れなかった、という経験を持つ
(僕のような)ビーチ・ボーイズ・ファンの方であれば、
絶対に「箱買い」をおすすめします。
ビーチボーイズDVD BOX
大学生時代に見たBEACH BOYS…恋愛・人間関係など青春時代の壁にブチあたっていた時にリアルタイムで見てました。このドラマから人生を教えてもらいました。まさに青春そのものでした。後にも先にもBEACH BOYSを超える作品には出会ってません。毎年夏、ビデオを借りてみてましたが、昨年VHSからBlurayに変えたため、今年は彼らに会えないかと思っていた矢先の発売決定。本当にうれしいし、フジテレビさんありがとう!
スマイル(デラックス・エディション)
おおー、こうきたか。
これはもう、『スマイル・セッションズ』というより『スマイル・マッシュアップ』と言ったほうがよいかもしれません。
オリジナルの音源を切った貼ったして、時にはキーやテンポさえ修正して、可能な限り完成型に近づけたという感じ。
まあ、完成型とは言ってもブライアンのソロ・ヴァージョンに近づけた、といったほうが近いかもしれません。
もちろん1-4や1-15のように、リード・ヴォーカルが録られなかった曲はインストのまんまなんですが、一方で1-12のリードヴォーカルをブライアンのデモから持ってきたり、1-15に『スマイリー・スマイル』の「ウインド・チャイムス」からコーラスを抜き出してくっつけたりといった荒業も多々あり、一筋縄ではいきません。
『グッド・ヴァイブレーション・ボックス』やブライアンのソロ版『スマイル』(もちろんブートも)と聴き比べると、そうとう楽しめそうです。
まあ、逆に言えば、単独の作品としては、初めて聴く人が楽しめる作品ではないと言うことです。
本当に『スマイル』という作品の凄さを知るには、やはりブライアンのソロ版『スマイル』を聴いてからじゃないと。
ボーナストラックもいろいろお楽しみが沢山あるのですが、個人的には「スマイル・バッキング・モンタージュ」と題された、8分半のセクションが面白かったです。
『スマイル』のさまざまな曲のコーラス・パートだけを抜き出して集めたもので、『スマイル』版「スタック・オー・ヴォーカル」みたいな感じで、すごく楽しいです。
やはりヴォーカル・グループとしてのビーチ・ボーイズは最強だと、あらためて実感できます。
それ以外の音源も、今まで聴いたことの無いようなパートが飛び出してきたりと、やっぱひと味違います。
5枚組コレクターズ・ボックスのほうが、さらに凄いことになってるんでしょうね。
余談ですが、本編はモノラル、ボーナストラックはほとんどステレオで統一されています(2-1,2,3のみモノ)。もちろん音質は最高です。
あと、日本盤はブライアン他によるライナーノーツの対訳と萩原健太氏による各曲の詳細な解説が付いてます。