陽のあたる坂道 [DVD]
この映画の公開時は まだ戦後 13年でしたが 芦川いづみが彼氏の川地民夫を積極的にリードして行きます。今は女性がリードして行くのが、当り前の世の中に成ってしまいましたが 当時は新鮮に写ったのではないでしょうか?可愛いけれど強い!そんな22才の芦川いづみが最高です!
青い山脈 [DVD]
吉永小百合のヒロインも健康的で、きっぱりしていて、とてもいいんですが、この映画の評価をあげているのは間違いなく脇の役者たちです。
さばさばとしていて、いかにもといった感じの故・南田洋子は、見ていてとても気分が良いし、物語の一番オイシイところを故・北林谷栄がチャーミングに(しかし、すごい攻撃力!)演じ、
浜田光夫と高橋英樹は、みなさんが指摘のとおり配役を逆にしても良かった気がしますが、特別気になるほどでもありません。ふたりとも若くて、青い空の下が似合います。
そして、この物語のもうひとつのカップルを演じる芦川いづみと二谷英明。ちょっと素直になれない教師役の芦川と、ドジだけど自分の心にはどこまでもストレートな養護教諭?役の二谷が絶妙です。
日活を退社し、活躍の場をテレビへ移してからは、名匠・木下恵介監督に「お前は(映画時代)間違った使われ方をしてきた」と言われ、70年代以降は渋い中年、ロマンスグレーの魅力で売った彼。
確かにアクションではかなり違和感がかなりありましたが、この映画のようなコメディー調の役柄はとても合っていると思います。こんな映画にもっと出て欲しかったと思います。
颯爽とスクーターで正門を通過する吉永小百合。この、高度成長期を迎える日本をそのまま表したような明るい彼女の姿。是非、おすすめの一作です。
若い人 (新潮文庫)
石坂洋次郎の小説といえば最も有名なのは映画や主題歌がヒットした「青い山脈」であろう。しかし「青い山脈」は戦後民主主義という背景なくしては決して成り立たないと思う。
それに対して、この「若い人」は戦前に書かれた小説ではあるが、学園を舞台にした恋愛小説の古典として多くの小説や映画などに影響を与え、江波恵子という魅力的な女性を作り出した。「若い人」こそ石坂洋次郎の代表作といっても差し支えないだろう。
ある北国のミッション系女学校を舞台に新任教師である間崎と知的な女性教師橋本先生、感情的で破滅型の女学生江波との間の三角関係を描いた小説である。この3人がお互いに影響しあいながら、それぞれの魅力と欠点が明らかになっていく過程が素晴らしい。
なお、終わり近くの描写に検閲の'''厳しかった時代の跡が見られる。
青い山脈 (新潮文庫)
終戦まで、個人を消して、国家のために懸命に生きてきたけれども
戦後は、個人のために生きることが許される時代になった。
けれども、人間はすぐに切り替えて生きていくことができないもので、
さまざまな問題が起きてくる。
それを、若い女性教師(雪子)や教え子の新子たちなど若者の
前向きな力と、悪を許さぬきれいな心と、人をいたわる
やさしさでもって、力を合わせて乗り越えていく。
読んでいて、本当にすがすがしい。今の時代でも、まったく色あせない
テーマで、とても勇気付けられました。あたたかい言葉にあふれています。28歳の私ですが、もっと早く出会いたかった本の一つになりました。
霧の中の少女 (新潮文庫 草)
石坂洋次郎というと「陽のあたる坂道」の話を自分の親から聞かされたように、私から見て一つ上の世代では大変メジャーな人である。
それもあって、昔(30年ほど前)に興味を持って買った(当時260円)のを、随分久しぶりに読んでみた。
読後感だが、結構、文学の力というか文章の力は強力だと思った。
特に、「人生」、「若い娘」(下宿屋の5人姉妹の話)、「乳母車」は何となく覚えていた。
薄っぺらい「善意」とか「常識」を現実が吹き飛ばす話なのだが、ノンフィクション主体の読書に最近なっていたが、小説もいいなと思った次第である。