祝福/木下牧子:無伴奏作品集
20年以上、しつこく合唱を続けてきた者です。
この演奏団体の「大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団」には、長年の「合唱の友」が在籍していることもあり、多くのステージを聴いてきました。
豊かな声と、「歌心」あふれる合唱団で、このCDでもその良さは如何なく発揮されています。名演奏のCDでお買い得です。本当に。
今、多くの合唱団では木下牧子の「鴎」が共通の愛唱歌として歌われています。
譜面は簡単で繰り返しが多く、ト長調の調性も明るい響きを感じさせてくれます。1番、2番、3番と3回のバリエーションのどれもが、和声に工夫が凝らしてあり、オブリガードも自然な処理が行われていますので、とても歌いやすく、感情移入しやすいメロディーも持っています。音域に関しても何のムリもないので、合唱を始めた人でもすぐに歌えるのが、好感を持って愛唱されている理由だと思います。
テキストとして用いられた三好達次の詩の素晴らしさも愛唱される理由ですね。
12回繰り返される「つひに 自由は 彼らのものだ」の間に挿入される象徴的な比喩。詩そのものが持っている音楽的なリズムを損なわずに、込められた情感を自然に表わした旋律とのマッチング。
三好達次の詩の世界を、木下牧子が格調高く、無限の広がりをもつ伸びやかな音楽を伴って、展開していきます。
この曲は、またアンコールピースとしてもよく歌われています。演奏会の興奮と感動、その後の開放感、それらすべてをこの「鴎」に込めて歌われます。
合唱団員の胸に満ち溢れた達成感と幸福感は、ホールにいた全ての聴衆にも共感をもって広がります。
「つひに 感動は 皆のものだ」と・・・・。
星の王子さま バンド・デシネ版 (Le Salon des livres)
好き嫌いはあると思いますが、新たに映像化(アニメ化)するために作成されたストーリーボード(絵コンテ)とでも考えてとにかく読んでみることをお薦めします。(訳者も「この仕事は映画の字幕を作るのに似ていた。」とあとがきに記しています。)
木下牧子混声合唱作品集
「方舟」は、未来永劫お手本となるような素晴らしい演奏です。
この録音を行った演奏会で、3曲目までのじわーっと来る絶妙のタクトと、それに応える合唱団の表現力、そして終曲で爆発するエネルギーに思わずガッツポーズしながら涙を流したのを覚えています。
鈴木先生が振らないとこういう色は出せないんだなーと思う。
「ティオ」は、同じ会場、同じ指揮者、同じ合唱団で翌年に録音されました。
前年の「方舟」のような弾けっぷりを期待してたのですが、それがすこし鳴りを潜めてたのが少し残念でした。
しかし、終曲では多少のあらはともかくはじけるはじける!!この曲が意図している「おもしろさ」が炸裂しまくりでした。
このご時勢「楽しんだもん勝ち」の演奏がCDとして売られた稀有な例として、ライブラリーに加える価値は十二分にあります。
日本合唱曲全集「祝福」木下牧子作品集
スケールの大きな曲を 導かれし者たちが見事に歌いあげている...そんな感想を持ちました。
さすが、毎年オーデションによって選ばれたメンバーによって構成された合唱団です。
これほど透き通って響きのある歌声は聴いたことがありません。
胸にジーンとくるものがあり、何時間でもつつまれていたい...そんな気持ちにさせてくれます。難しい木下牧子の曲の表現方法に毎日試行錯誤をくりかえしている私には 大変勉強になった一枚です。
テオ・アンゲロプロス全集 DVD-BOX IV (永遠と一日/再現/放送/テオ・オン・テオ)
このIV集をもって、全集も完結。 しかし、アンゲロプロスはまだ現役の監督であり、これからも作品を発表しつづけてくれることを我々は待ち望んでいる。
IV集では、「永遠と一日」を収録。 全集発売前には、唯一国内でDVDが入手できる作品だっただけに、ファンは既に入手済みの人も多いことだろう(私もそのひとりではあるのだが)。 それであっても、やはりこのIV集は入手してしまうだろう。 全集を全て所有するというコレクター根性もあるにはあるのだが、やはり未見である「放送」「再現」を是非観てみたいと思う。
また、アンゲロプロスの重層的な表現世界への理解を深めるためにも、監督自身へのインタビュー「Theo on Theo」も興味深い。