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〈COLEZO!〉日本合唱名曲選
合唱が本当に大好きで、しつこく歌ってきた50代の者です。
合唱を離れて最近合唱なんてしていない方へ、このCDはいかがでしょうか。
また、愛唱歌を歌いたいのだけれど一人では歌えないし・・・・、という方にもオススメします。CDの上手な合唱団に混じって一緒に歌うという醍醐味が味わえますよ。
我々の世代にとっての愛唱歌であったあの懐かしい「わたりどり」、「遥かな友に」、「夜のうた」をもう一度聴いてみませんか。
指揮者も合唱も日本を代表するものばかりですので、お手本となると思います。
男声合唱は一曲だけですが、多田武彦の「雨」が収録されています。全日本合唱コンクール金賞を重ねた頃の京都産業大学グリークラブの重厚なハーモニーがそこにありました。京都を中心に活躍された尾形光雄さんのソロは、押さえた表現の中に八木重吉の詩のすがすがしさを表しています。
最近本当に良く歌われている木下牧子の「夢見たものは・・」も当間修一さんの日本語を大切にする解釈が光りますし、武満徹の心温まる小品「小さな空」も是非お聴き下さい。女声合唱の名曲「落葉松」も木下保さんの指揮による名演奏ですし、東京混声合唱団による「風の子守唄」も爽やかな合唱です。
冒頭は、「水のいのち」より神戸中央合唱団の「雨」で、早くに亡くなられた根津弘さんのお名前を見て、あの頃の名演奏が蘇ってきました。
ラストは佐藤眞の名曲「大地讃頌」のオーケストラバージョンです。どの曲も歌ったことがある曲ばかりで、様々な音楽シーンが目の前によぎってきます。
本当に合唱関係者なら一度は歌ったことがある名曲揃いですね。オススメします。過去の名曲を再び口ずさんでください。
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日本語 語感の辞典
やっと、それらしい辞典(?)が出ました!
書店で目にして、ほとんど衝動買いです。
話をする時に、意識して言葉を選んでいるわけではないし、
文章を書く時に、言葉を並べて...合った言葉をさがしているわけでもありません。
そんな私でも、時には...
自分が発する言葉の手ざわりや、相手から戻ってくる言葉の肌ざわりを感じること、
感じたいことがあるし、
目を突き刺すような言葉を変えてやりたいと文章をいじりたくなること、いじること
もあります。
この辞典から、ほしいものすべてがもらえると思ってはいけません。
少なくとも辞典ではないのです。
言葉を引かないでください、言葉を『読んで』ください。
この本が教えてくれる見方で、載っていない言葉を想像してもいいのです。
そんな見方は教えてくれます。
ただ、ですね...
この本に載っている言葉の語感の説明も、これがすべてではありません。
言葉は、私自身の経験ともつながっているので、主観的な語感を持っている
言葉もあります。この本がまちがっているか、私がまちがっているかではなくて、
...言葉というものはそういうものだと思います。
思いついた言葉をさがして、ページをめくりながら楽しんでみます、
他の言葉に寄り道しながら。
このボリュームだと、...だいぶ楽しめそうです。
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日本合唱曲全集「幼年連祷」新実徳英作品集(1)
「幼年連祷」、「常世から」、「祈りの虹」の3曲が入っています。「祈りの虹」は混声合唱版を私もステージで歌いましたが、これらの3曲、強烈なインパクトです。
「幼年連祷」は幼い子が死んだ思い出を・・・と言うのではなく、誰もが持っていた幼年をいやおうなく思い出させる曲集で、ノスタルジックな、しかしそこに適度な悲しみを漂わせる楽曲で作られています。以前から気になっていた曲集と言うこともあるのか、一度聞いただけで、すっとこの世界に入っていけました。
「祈りの虹」。広島に原子爆弾が投下されたその惨状を、強烈な音に変えて迫ってきます。特にすざまじいのは2曲目。ベースの、地を這うような死者の呻きを土台に、これでもかという地獄絵図が展開されます。歌ったことのある人間の率直な感想は、こんな「祈りの虹」はいまだかつて聞いたことがありません。これほどの地獄絵図を描き出せるからこそ、最終楽曲のソリストによる”アヴェマリア”が生きてくるのです。
これほどの名演奏はきっと出ないと思います。特に、「祈りの虹」の旧盤(CD)をお持ちの方、ぜひもう一度、この盤で聞きなおしてほしいですね。星5個では足りません。絶品です。