ザ・ピーナッツ・レア・コレクション
昭和30年代から40年代の音楽シーンを飾った「ザ・ヒット・パレード」が大好きでした。踊る指揮者スマイリー・小原もユニークでしたが、ザ・ピーナッツの歌うポップスの数々はよく覚えています。
「カム・トゥゲザー」のようなビートルズのカバーや、ディオーヌ・ワーウィックの名唱を思い出す「ジス・ガール」は、本当に上手ですね。
「恋のフーガ」の英語バージョンを聴くと、彼女達のハーモニーの美しさと英語の発音は当時の歌手の中で群を抜いていましたね。双子ならではのユニゾンの歌声の艶やかさに感心してしまいます。
「シャボン玉ホリデー」のテーマ曲も懐かしかったですし、「モスラの歌」は映画のワンシーンを思い出させてくれました。
個人的には、林家三平さんとのデュエット「ふりむかないで」が良かったですね。確かに「ザ・ピーナッツ レア・コレクション」というタイトル通りの選曲だと思いました。
いずれにせよ、昔懐かしい曲を聴いていますと、テレビ番組の初期の頃を思い出します。テレビで流れるヒット曲を、国民皆がそれを見て聴いて全国で流行った頃です。ザ・ピーナッツの歌声はそんな時代をまざまざと蘇らせてくれます。
昭和の爆笑王 ご存じ 林家三平傑作集
昨今落語ブームと言われ、息子の正蔵もいっ平も活躍している中、今あらためて父林家三平の伝説の芸を見直したいと思っているファンは少なくないはずだ。しかし三平の映像も録音もごく一部しか出版されておらず、中古市場でも「幻」化。そこにこの書籍の出版。早速買って開いてみた。…なんだこれは。約270ページにわたる、ほとんどただ活字オンリーの三平のギャグのオンパレード、というか羅列。当時の雰囲気を伝える三平の写真などは冒頭に数ページ、時代背景の説明もほとんどなく、レイアウトや活字の工夫もなく、ただ同じ大きさの活字がひたすら並んでいる。それでも楽しめるのはまさに時代を越えて通用する三平の究極のサービス精神のなせる技か。しかし最初のうちこそ楽しく読んでいたが、最後まで全て読み通すのは至難の技だ。…なぜ、なぜなのだ。なぜそこまで三平の映像や録音を出し惜しみするのだ。こんなに中古品の値段を引き上げさせて何が楽しいのか。そろそろ林家三平を解禁せよ!ちゃんとした高座の映像や録音がなければTV映像でもいい。一時期はどこのチャンネル回しても引っ張りだこだったんだから、どのTV局にも秘蔵映像があるはずではないか。こんな活字ばかりでは、三平のあのスピード感溢れる高座の雰囲気は全く伝わってこないし三平が活躍した当時の時代すらも伝わってこない。付録CDの一枚も付いていないこんな書籍、三平を知らない世代にはなんの魅力も感じないだろうし、知っている私たちは大失望だ。これはねぎし三平堂所蔵の膨大なネタをただ学術的に?整理しただけの、いわゆる文献だ。正直、面白くない。
お笑い歌手 黄金時代
~何がイイかって、故~~ 林家三平師匠の「ヨシコさん」(ライヴ版)を収録しているというだけでこのアルバムはもうOKである。中年男が紋付袴姿で「キスさせてぇ~」とわめく姿は感動もの。こぶ平改め正蔵が三平になるのを諦めたのもうなずける。
ケーシー高峰センセイの「そりゃあないぜセニョリータ」もグラッチェ。現在とちっとも変わっとりゃせんあたりが凄い。
笑点音頭は~~談志師匠が表記されているが、バックコーラスは当時の笑点メンバー。注意して聴くと歌丸師匠の歌声と判ります。~
ぼくたちの七〇年代
高平哲郎の名を知ったのは、司会をタモリ、パイオニア・ロンサムカーボーイのCMナレーターを片岡義男が務めた「今夜は最高!」の構成作家としてだった。この番組が始まったのは81年。このあたりで本書は終わる。この本は、高平がソコに到達するまで10年間の軌跡を正直に辿っている。晶文社、「宝島」、インタビュアー、イベント・プロデューサー、構成作家……その道は混沌とし、やたらと曲がりくねっている。
植草甚一、浅井慎平、山下洋輔、景山民夫、所ジョージ、赤塚不二夫、そしてタモリなどの交遊が、面白くて少し悲しいのは、彼らが時代と格闘してきた生身の人間であることが痛いほどわかるから。その意味でひりひりするような本だ。
「ある晩、珍しく真顔な先生(赤塚不二夫)に『俺、高平と知り合えてよかったと思ってるんだ』と言われたとき、ぼくは帰って布団を被って泣いた」そんな男たちの話。
晶文社、植草甚一ファンはご一読あれ。