ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)
真夜中,どこかから聞こえてくる時計の鐘の音で目が覚めた「私」は、すべての記憶を失くしてしまっていた.
隣の部屋には少女(どうやら自分の許婚らしい)がわめき散らしているのだが、自分には全く身に覚えがない。
もう一度眠りについた「私」は、やがて朝になり再度目を覚ますのだが,そこに九州帝国大学医学部長を名乗る紳士がやってきて(どうやら「私」は九州帝大病院の精神科病棟の一室にいるらしい)、その紳士に連れられて失くした記憶を取り戻しに出かけるのだが...。
人により評価が真っ二つに分かれる作品です。
分厚い上下二巻組の作品であり、途中に「胎児の夢」と題する論文などが挿入されているので、読んでいて辛くなるかもしれません。
しかし、それを我慢して読み進めていくと、私と同じようにその結末にきっとあなたも圧倒されることになるでしょう。
結末のインパクトが失われてしまいかねないので、深く突っ込んで書けず申し訳ないのですが、世界に誇れる作品に仕上がっているということだけは言っておきます。
あなたがこの作品について、少しでも気になったことがあるのなら、一度手にとってみることを強くお勧めします。
そしてその時に,途中で放り出してしまいたくなるかもしれませんが、ぜひ最後まで頑張って見てください。この作品の世界観は、きっとあなたを大きく変えてしまうでしょう。
それでは御健闘をお祈りします.
ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)
一級の幻想小説ではある。読後、いくつの幻想アイデアが重複しているのか数えてみたが、物語全体に影響を及ぼすオチのようなものが少なくとも四つある。考えれば考えるほど奥の深いアイデアである。読む人によっては、四つ以上のアイデアを発見する人もいるかもしれない。
主人公がいったい睡眠をいつとっているのか気になった。しかし、ちゃんと四時間も昼寝していることに気づいた時は、戦慄というか爆笑である。昼寝をしていない他の登場人物たちは、場合によっては、全員発狂である。
読みごたえのあるアイデアは確かにこの本にはある。興味のある人には、一読して、いくつのアイデアが発見できるか試してみて欲しい。
きのこ文学名作選
きのこ文学のファンの方はもちろん、広く文学を愛する方にお薦めしたい一冊。
よくぞここまで広くきのこ文学を渉猟し、名作を掬いあげたものである。ジャンルは、小説から詩歌、狂言にまで及び、今昔物語の世界から現代文学までをカバーしている。
中でも私には、萩原朔太郎、加賀乙彦、村田喜代子、八木重吉、北杜夫などの作品が印象深かった。
脳細胞の中に菌糸が繁殖していく感覚を与えてくれる作品群。「きのこ」の中に、人間の内面世界のほの暗く湿潤した部分と通底するものがあることを実感させられる。
更に愕くのは、本書全体がこれでもかといわんばかりに、凝りに凝ったデザインで満たされていることだ。一作ごとに紙質、色が違い、フォントが違い、レイアウトが違う。変幻自在のデザインを楽しむことが、掲載作品それ自身の味わいを倍加させてくれる。
飯沢耕太郎という存在がなければ、こうした本の刊行も現実のものとはならなかったに違いない。ぜひこの味わいを実感してほしい。
火星の女 (夢野久作の少女地獄) [DVD]
夢野久作原作の「少女地獄」だと聞いて購入。
原作(とも異なる内容だが)を知らないと、全然物語的にわからないのではないかと思った。
役者が少女ではないのと、成人向けなのは出してる会社のせいか・・・
原作のドロドロ感は多少は感じられた。
知らない人が見たら、やはり後味の悪い気持ち悪さは残ったと思う。
ビデオDVD化していない「瓶詰めの地獄」(内容がだいぶ異なるようだが)
こちらも気になるところ。