渚にて
スヌーザーの【The Essential Disc Guide 2004 あなたのライフを変えるかもしれない300枚のレコード】で紹介されている作品(ディスクNo.145)。
絶望的で暗いとの評価が目立つアルバムだが、個人的にはあまりそう感じない。
確かに、核戦争で人類が滅んだあとに一人取り残されたような歌声ですが、
大いなる虚無をのみこんでしまうな力強さを感じます。
(実際に、ヤング自身が身近な人の死を乗り越えなければならなかった背景がある。)
まるで、人々が滅ぶことを認識しながらも生きていく『風の谷のナウシカ』や
絶対に負けてしまう戦いにそれでも赴く『鉄腕アトム(アトムの最後)』のようでもあります。
『マルドゥック・ヴェロシティ』のボイルドも、ヤングのこの[強い弱さ]とでもいうべきものがあれば、
虚無に落ちることはなかったかもしれません。
もし、アナタが今現在、虚無にとらわれているとしたら、
このディスクに手を伸ばしてはいかがでしょうか。
「Walk On」
ビタミンF (新潮文庫)
この短編の主人公は、40歳前後の男性が多い。
もう若くないけど、おじさんと認めるのもシャクで…
といった微妙な男性心理に、
思わず口元がほころんでしまいました。
子どもがグレたり、いじめられていたり、反抗したり、
この結婚はまちがいじゃないだろうかと後悔してみたり、
体力が落ちてきたことを見てみぬふりしたり、
どこの家庭でもひとつはありそうな、
リアリティある物語がつまっている。
とくべつに大きな事件が起こるわけじゃないけれど、
等身大の日常が広がっていて、
気負わずに読めました。
かっこいいワケじゃない。でも、この生き方も悪くない。
そんな風に「明日」を見つめられる本でした。
新装・増補版 「捨てる!」技術 (宝島社新書)
最近、部屋が片付かなくて、本を買いあさっている中、この本を見つけた。
整理する以前に捨てることの方が大事である点は私もまったく同感。
また、旧版をみて、文字通り、捨ててしまって、はまった方もいらっしゃるようだが、「自己責任」というのは、酷だろうか?そこまで、毒のある内容とも思えないが。
内容は、参考にはなるが、ものすごい画期的という訳でもないと思う。ただ、旧版を読んだ読者に、捨ててしまって、後悔させるほどの説得力があった点はすごいと言えばすごい。ただ、本当に、捨てる時は「自己責任」ですから、みなさん、ご用心を!
たまたまだが、同時期に佐藤康行氏の「捨てる哲学」など読んでいる。こちらの方は深い、深すぎる。物が部屋中にあふれ返っている方には、お勧めしたい。あっと言う間に読める。
明日また電話するよ
山本直樹の作品に登場する少年少女は皆、別に特別な環境に置かれている若者なわけではない。何かから極端な抑圧を受けているわけでもなく、何かを猛烈に求めているわけでもなく、ただ流れるように同じような日々を過ごして、多分、大人になってからもこうして毎日を繰り返しながら生きていくんだろうな、と思わせるような、そんな若者たち。そして、彼らはドラマチックな展開を経て出会うわけでもなく、何か切実な思いを共有するわけでもなく、それがごく自然のことであるかのように、体と体を重ね合わせていく。それは、読む人によっては、将来を見据えていない、その場限りの手軽な快感に身を沈める、即物的な生き方をする若者たちの、軽薄な物語に思えるかもしれない。しかし、よく読んでみて欲しい。決してそうではないのだ。すべてを終えた後に広がる、何の特別な感情も象徴しない、でもどこか清々しい、風の通り抜けた後のような青さを感じさせる風景。そこに映る解放的な何かは、汗と生温かさの中で果てるイカ臭いカタルシスとはまったくもって無縁のものだ。どれだけ体を交わしてもどこにも辿り着けない毎日に、彼らは少なくともフラストレーションや悲壮感や後ろめたさを抱えてはいない。繰り返される毎日でかまわない。「明日また電話するよ」。そう声を掛けるのと同じぐらい近いところに、魔法やファンタジーは転がっているから。山本直樹のすごいところは、出口の見えない毎日には、それでもこんなに晴れ渡った入り口がすぐ隣にあるんだと教えてくれるところだ。これまでに発表した幾多の短編の中から選び抜かれた秀作をひとつにまとめたこの一冊を読んで、改めてそう思った。定点アングルで描かれた“テレビばかり見てると馬鹿になる”は傑作。
ときめきメモリアル Girl’s Side from 1st Love&2nd Season ドラマ&イメージソングアルバム~天童壬・真嶋太郎・古森拓~
ときメモGSの天童壬、真嶋太郎、古森拓の3人各々のドラマ、歌、そして1st、2ndのエンディングテーマが最初と最後に入っています。数々の感動のエンディングを彷彿させるテーマ曲はゲームの世界に連れ戻してくれます。
追加キャラ3人のドラマはエンディング後のものではなく、ゲーム途中のイベントを下敷きにした、本人のモノローグで構成されています。追加キャラゆえゲーム中では登場部分が少なかったため、ややもすれば展開に唐突なところもあったりして消化不良でしたが、ここで本人の心の葛藤やそれにまつわる日常が描かれていて、表には出ないもうひとつのストーリーを味わえます。とても楽しいです。
さらに、歌も秀逸で、キャラクターそれぞれの持ち味を出した感動的ないい曲です。さらに声優さんが皆さんお上手です。(特に谷山さんは大げさなくらい気持ちをこめて歌って下さっています(笑))
ときメモファン、特に追加キャラ3人のファンのかたに是非お勧めします。