蝶のすむ部屋(紙ジャケット仕様)
やはりこの曲につきるのではないか…
この方の特異性には業界も目を着けていたのだろう。本来なら彼女の書く曲はフォーク調でそれらの専門のバックをつけるのだろうが、1stからジャズ、フュージョン系の伴奏が多かった。
しかし裏腹に上手くいってないケースも多かったと思う。だが今作はピアノトリオを中心にシンプルなアレンジが功を奏した傑作に仕上がったと思う。
中でも 白い鳥 は何か達観したかの様な詩と、力強くもはかない彼女の歌唱に、あまりに美しいピアノのアルペジオが寄り添い得も言われぬ感動を呼ぶ名曲。
密航(紙ジャケット仕様)
回想ではなくて初めて聴いた者の感想として
どこか森田童子みたいなんだろうなって最初は少し構えて聴いたんだけど
そうじゃない、ジャジー?っていったら浅川マキとも違うし
もっと和のエッセンスに満ちてる
あくまでも詩の情景描写を浮上させるためのバッキング
それでいながら凝っているというかんじ
萬花鏡(紙ジャケット仕様)
1975年録音の記念すべき1st。いつのころから彼女を聴き始めたのか、80年前後だったのかもしれない。先ず中古屋でこの1枚目に出くわした。タイトルと、彼女の、あやとりひもに指を通した、まだ幼いが不敵なまなざしに思わず吸い込まれた。それから、同じ店で「密航」(1976)、「胎児の夢」(1977)、「蝶のすむ部屋」(1978)を入手し、貪るように聴いた。・・・あれから30年近く、今でも彼女の歌を聴いている。彼女の作品の中では、この1枚目が最も好きだ。それは、1枚目にして、早くもこの作品のそこかしこに、後のアルバムでさらに展開されていく彼女の特異なイメージのエッセンス(ある種の文学世界への偏愛、古典詩歌へのこだわり、物語伝奇趣味、演劇性、厭世感、陋巷志向、耽美主義、残虐趣味、倦怠感、エキゾチズム・・・)を伺い知ることができるからだ。まさしくこのアルバムのタイトル通り「万華鏡」!