明日の記憶 [DVD]
迫力の演技には圧倒されました。
映画では分からない事がDVDだと特典映像とかあるので
渡辺謙がエグゼティブプロデューサーになっているのでこの映画にかけた思いが
伝わってきます。
僕たちの戦争 完全版 [DVD]
名作ウィンズ・オブ・ゴッドを神風から回天版にして、おまけに大林宣彦の転校生を合わせたような作品。あまりに使い古されたネタだけにビックリ。まるで漫画のようだがドラマとしては良くできている。特に俳優達が良い。過去と現代の青年を演じ分ける森山未來はまるで別の俳優が演じているように上手だった。回天は映画「出口のない海」でも取り上げられたが、戦闘機による攻撃隊よりは知名度が低く斬新さがある。しかし、実際に戦闘機にも特潜等の特攻兵器を与えらた兵士よりも、それにも乗ることが出来ない悲惨な特攻兵の方が多かった。不思議系な話で興味をわかすのではなく、クローズアップされてこなかった秘話をドラマ化して欲しい。不思議系話にすることで、過去と現代とのつながりを出そうとしたようだが、逆に深刻味が薄れてしまったと思う。
噂 (新潮文庫)
読み手を引き込ませるテクニックが素晴らしいです。普段あまり小説を読まない私ですが、通学時間だけで一気に読むことができました。登場人物の人物像、やりとりの巧妙さ、作品全体のテンポ、ストーリー、どれをとっても素晴らしいのですが、そのすべてを最後の一行で打ち壊しています。最後の一行がなくても完成された素晴らしい作品になることを荻原さんは分かっていた、その上で最後の一行を加え作品を打ち壊し、読み手にモヤッとした気持ちを与えることを楽しんでいるような気がしてなりません。ある種、芸術ですね。
神様からひと言 (光文社文庫)
物語の冒頭、晴れ舞台のはずの会議でトラブルを起こした主人公が「お客様相談室」に飛ばされるのですが
このセクションにいるリストラ要員の駄目社員ぶりが笑えます。
室長は見栄っ張りの姑息野郎、直属の上司は仕事をさぼることしか考えてない自堕落おやじ、
同僚はロリコンおたくや失語症の体育会系、あとから異動してくる紅一点の美女も何やら訳あり。
主人公と一緒になってうんざりしそうになりますが、この自堕落おやじが教えるクレーム対処法は意外にも合理的でマトモで、
だんだん格好良くすら思えてくるから不思議です。
主人公は恋人に逃げられているのですが、それがなぜだか分からないというのが、物語のもう一つのテーマになっています。
プライドばかり高く、そのくせすべてが中途半端な主人公が少しずつ成長していくうちに
それまで見えていなかった彼女の気持ちが分かるようになり、なぜ去っていったのかを理解します。
なるほど、視野が広がるってこんな感じだよねと、ほのぼのした気持ちになりました。
リアリティーがないと言えばないし、号泣したり爆笑するような派手な小説ではありませんが
素直に楽しんで読める物語でした。
心が疲れているときに読むと、ちょっとやる気が湧いてくると思います。
明日の記憶 (光文社文庫)
若年性アルツハイマーに侵された主人公の心の葛藤と身体の葛藤。
この人が置かれた状況を誰もが他人事とは思えないんじゃないかと思う。
主人公がだんだんと病気に侵されていく過程が、すごく怖い。
それは詳しく過程が説明されている訳ではなく、一見正常に見える
主人公の日記や言動や行動などが辻褄があわなくなっていたりして、ひやりとする。
仕事の仲間や血縁、更には家族まで忘れてしまい、
自分という人格がなくなってしまうという事を正気で
受け入れられるだろうか?と考え込まされた。
いくら頑張ってもどうにもならない事って本当にやりきれないし、本当に辛い。
これは誰にでもおこりうる物語だからハッピーエンドはない。
最後は涙が止まらなかった。いろんな気持ちを考えてしまって。
でもいろいろ考えるきっかけになると思うから是非たくさんの人に
手にとってもらいたい本。
今の時間(自分?)は永遠ではないってこと。