はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話
はやぶさの運用を指揮したプロジェクトマネージャー自らが著したドキュメンタリーです。
これまでに、はやぶさに関する書籍が何冊か出版されていますが、運用リーダーが自ら著しただけのことはあって、
より細かいプロジェクトの内幕が分かるようになっています。
満身創痍であるはやぶさの帰還カプセルを安全に地球に送り届けるための、
「たったひとつの冴えたやりかた」の指令を決断した経緯のくだりには涙なしには読めません。
この本を読み終えた後、はやぶさの生涯やそれを支え続けた人の執念と熱意に、改めて思いを致しました。
はやぶさを応援した人でしたら、購読の価値はあると思います。
NHK-DVD 小惑星探査機“はやぶさ”の軌跡
これはNHKの番組『追跡!AtoZ』で放映されたものがベースになっており、BGMやナレーションが一部再編されています。プロジェクトチームへのインタビューや当時の映像を交えてミッションを解説。サンプラーホーンが接地した際にイトカワの砂がどれだけ舞い上がるかを分析した微少重力実験の映像や、あの有名な1枚の他に上手く撮れなかった数枚の「ラストショット」画像も。映像特典としてはサイエンスZEROで使用されたイオンエンジンの実験映像や北海道大学の分析施設の紹介などが収録されています。
残念ながら微粒子が「イトカワ」由来と同定されたニュースまでは入っていませんでした。年末のAtoZ特番でどうやら「はやぶさ」続報が取り上げられるようです。
ハッブル宇宙望遠鏡~人類唯一の宇宙望遠鏡が見た宇宙~ [DVD]
少々古いDVDなので、内容も映像も古い感じです。
それでも宇宙についてあまり知らない人には多くの知識が得られます。
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が打ち上げられたとき、使い物にならなかったというのは初めて知りました。
宇宙に存在する銀河が泡のような構造になって存在しているというのは、わりと知られたことだと思います。
そのほか、ガスや白色矮星、恒星の誕生するところなどが紹介されています。
「はやぶさ」式思考法 日本を復活させる24の提言
「卵が先か、鶏が先か」
人生、あるいは仕事においても、現状から新しい道(あるいは方法)を模索しなくてはならなくなった時、人は、この一見たやすいように見えて、実は非常に難解な「決断」を迫られることがある。
筆者は、そのもっとも難解にして時間も労力も要するであろうことに、「今」だからこそ踏み出すべきだと訴えている。
戦前・戦中そして戦後にわたり、日本を含めた世界が歩んできた「人としての生業」に言及し、そこに隠された、おそらくは多くの人が知られざる“本質”を示した上で、
「足元ばかりを見ずに、これから歩いて行く先で“本当に必要なもの“を得るために、いま何をすべきか」
筆者がこの本で示した「24ヶ条の心がけ」には、そのための大切なヒントがちりばめられている。
日本人がとかく陥りがちな「他人と同じ」という感覚(=ある種の安心感)を「他人とは違う」ことを探す方へと意識転換すること。
何時の時代にあっても、人の世を発展させ、新しい世界を切り開いてきたのは、既存に飽き足らない「好奇心」と「探究心」であり「行動」であることを、筆者は思い出させてくれる。
いまの社会(あるいは人)は、とかくすぐ「成果」を求めたがる。
私が以前、参加した「JAXA」のタウンミーティングにおいても、JAXA関係者が語った「今後の展望」に対し、参加者の中には「それは、いったいいつになれば実現するのか?」あるいは「その頃には貴方(説明したJAXAの方)や自分は何歳になってるのか?」と、批判した人がいたが、その考え方こそがまさに「今の日本が陥っている閉塞感の元凶」だと思う。
たとえ結果が出るのは「今」でなかったとしても、もしかしたら「自分が生きているうち」ではなかったとしても、「今」このときに「必要な種」を蒔いておかなければ、それは「今」よりもどんどん後の、さらに見えない「先」へと延ばされてしまうだけ。
それでは遅すぎる。
大切なのは「どうなるか」ではなく「どうするか」
「はやぶさ」が与えてくれた「希望」を、「今だけ」のものとして終らせてはいけない。
ここに記されている、日本が失いかけた「未来へ向うための道しるべ」を、
「この本を、これからを担う若い世代にこそ読んで欲しい」と願う筆者の思いを、
私たち(特に、日本という国の舵取りを担う立場の人)は、今こそ真摯に受け止めるべきだと思う。