We're all alone(ウィー・アー・オール・アローン)
「トライトーン」のソプラノ、松永ちづるが一人でアカペラ・コーラスに挑戦したアルバムです。
昔、山下達郎が『オン・ザ・ストリート・コーナー』という名アルバムを作成しましたが、女性一人の多重録音のジャズ・コーラス・アルバムは本当に珍しいと思います。
スタンダード・ナンバーが、とてもオシャレなアレンジで次から次へと万華鏡のように変化しながら歌い続けられます。歌唱力のある松永ちづるのヴォーカルですから、複雑なハーモニーも軽々とこなしていますし、「一人」ですから本当によくハモります。こんなに上手でオシャレな女性アカペラ・コーラス・グループがあったらステキだな、と思わせるような仕上がりです。
ソプラノの松永ですが、アルトの音域も楽々カバーしていますね。声質も使い分け、歌い回しも曲ごとに工夫がありました。この人の安定したハーモニー感覚は素晴らしい才能です、流石だと思いましたね。
A.O.Rの代表とも言えるボズ・スキャッグスの名曲「we’re all alone」の大人の歌唱はなかなか出せない味です。この1曲だけでも聴く値打ちがあるでしょう。ジュディ・ガーランドが歌った『オズの魔法使』の主題歌「over the rainbow」も、とても伸びやかに歌われています。夢の世界へといざなってくれました。
昔々「シンガーズ・アンリミテッド」のコーラスに魅せられたことがありました。このCDは、それに匹敵するような出来映えです。休日の夜、落着いた大人の雰囲気を持ったジャズ・コーラスはいかがですか。
シルク・ディグリーズ
あまり宣伝されていませんが、このCDは最新デジタルリマスターが施されていて、これまでリリースされていたものとははっきりと音の違いがわかります。これまでのものはレベルが低く、むしろアナログ盤の方がいい音に聴こえるくらいです。やっと本来の音になっての再リリースです。旧盤持っている人は買い直しましょう。内容はいまさら言うまでもないことですが「最高の名盤」です。