土を喰う日々―わが精進十二ヵ月 (新潮文庫)
貧農の家に生まれた水上氏の作品、殊に自叙伝的性格のある小説や、エッセイなどには、
いつもどこかに、物悲しい郷里や僧院生活の記憶が刻まれていて、読んでいて身に詰まされるような気持ちになることが多い。
しかし本作は、文章のトーンも明るく健康的で、
土をいじり、そこから産まれる作物を、あれこれ調理し、頬張る、
ちょっと典型的な水上勉像とは違う彼の姿が垣間見れる作品。
とは言うものの、面白い一辺倒ではなく、百姓の子水上氏の土に対する思い、現代の商品作物や、現代人の食生活に対する眼差しは、時に辛辣で、多くのことを考えされられる作品でもある。
水上文学ファンのみならず、水上作品に暗いイメージばかりを持っている人にも一読してほしい作品。
暗い日曜日 [DVD]
主人公3人が描く特異な人間模様。
三人の関係に違和感を抱く人も少なくないかも。
個人的には非常に気に入った映画です。
中欧に興味がある人は見る価値あるかも。
この映画を見た後、ブタペストへ旅行してしまいました。
ダミア
”暗い日曜日”は世界恐慌時代に自殺者を多数出して
発禁になったという話があります。
全体的に暗い曲が多いですが力強く励まされる曲も
ありますので憂鬱にはならないでしょう。
シャンソンに興味のある方は入門として是非聞いて欲しいアルバムで、
とても気に入ると思います。
ここから入るのが1番ですね!!
リトル・チャロ 1 完全版[CD]
子ども(※)から大人まで楽しめる/感動する/涙するNHK英会話ラジオ番組「リトル・チャロ」の第1話から第17話まで収録しています。対応するストーリーブック(NHKラジオ ストーリー・ブック リトル・チャロ 完全版1 Lost in New York)も発売されましたので、併用すると良いでしょう。じっくりとチャロの世界に浸れます。チャロを演じる純名りささんの熱演に思わず聴き入ります。(私は毎朝ラジオを聞いていますが、チャロが泣くシーンでは、思わずモライ泣きしてしまったことが幾度かあります。(;_;)) こうして感情移入して聴いていると、英語が自然に身体に沁み込みますね。(^-^)v
なお、テレビアニメ放送の方もDVDやストーリーブックが順次刊行される予定ですので、そちらも併せてどうぞ。チャロがなかなか可愛いです。(ストーリーブック第一巻は「NHKテレビ アニメ版ストーリー・ブック リトル・チャロ1 Lost in New York」。DVDはリトル・チャロ Vol.1 ロスト・イン・ニューヨーク、リトル・チャロ Vol.2 恋の予感、リトル・チャロ Vol.3 シカゴへの旅立ち、リトル・チャロ Vol.4 友情は永遠に、リトル・チャロ Vol.5 ブロードウェイの奇跡)
(※)英語のレベルとしては中学2年〜高校くらいだと思います。
真昼なのに昏い部屋
恵まれた境遇にあるきちんとした奥様が日本通のアメリカ人に惹かれて……という
現実にも起こりそうな設定の物語。ふわふわと優しい描写のなかに、
江国さんらしい鋭い観察眼とアイロニーが光っています。
私が感心したのは、まず日本通のジョーンズさんの描写です。
基本的にマッチョを良しとする母国に疲れ、和の国日本に
憧れて英語教師として糊口をしのぐアメリカ人は珍しくありませんが、
その生態や周辺の人びとが実に巧みに描かれています。
ジョーンズさんに誘われるまま「世界の外」に出てしまった美弥子さん。
あまりにもナイーブ過ぎるといえばそれまでですが
ひとところに定住せず、ノマド的に自由に生きるアメリカ人と
大事に庇護されて育った日本の奥様との恋には
どんな未来が待っているのか、余韻を持たせた最後のページの描写は
残酷なおとぎ話の結末のようです。
巻末近くの「一人の女性が真理を発見するのに力を貸せたのは大いなる喜びですし、
たぶんこれで良かったのだとジョーンズさんは思いました」にどきりとする方は多いのではないでしょうか。
普通の日本人とアメリカ人を描いて、文化の違いをさらりと的確に示すあたり
江国さんは実に頭の良い女性だな、と思ってしまいました。